株式投資で確実に収益を上げているプロは、どうやって投資判断をしているのか。『東大生が学んでいる一生役立つ「株」の教科書』(SBクリエイティブ)を出した伊藤潤一さんは「決算書の『当期の業績についての説明』と『今後の見通し』は、必ずチェックするべきだ」という――。
決算書を読めば企業の未来が見える
決算書というと、数字に苦手意識がある人もいるが、見るべきポイントはそう多くない。
まず、各社のホームページにIRのページがあるので、そこに出ている「有価証券報告書」には最低でも目を通そう。様々な数字が掲載されている後に「経営成績等の概況」といった文章が掲載されているので、それを読み込んでみる。
ただ、全部読めないという方は、最低限「当期の業績についての説明」と「今後の見通し」には目を通してほしい。
たとえば、ある小売業の有価証券報告書を見てみよう。
事業セグメントごとの売上高を見てみると、「新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、特に海外事業において、売上高が減少した」とある。すると、感染拡大の収束とともに、また業績が戻るのではないかと予想できるかもしれない。
あとは、「今後の見通し」に関する話を拾っていくと、撤退するブランドはあるものの「下期発生の費用は限定的と見込む」とあり、大きなマイナスにはならないと考えられる。
さらに今後の成長ビジョンなどを読めば、この会社が今、どういう状況にあり、これから何をやろうとしているのかということが、なんとなく見えてくるだろう。