※本稿は、大江英樹『となりの億り人』(朝日新書)の一部を再編集したものです。
投資で一番やってはいけないこと
最近は投資信託で資産形成しようという人が増えてきています。実際に私が取材した億り人の中にも、投資信託で大きな資産をこしらえた人はいます。昔であれば考えられなかったことですが、初心者は株式よりもむしろ投資信託を使って投資を始めるという人も多いぐらいです。
そもそも投資信託というのは株式や債券をパッケージにして投資するものですから、その中身についてある程度わかっていないと、「自分が何に投資をしているのかがわからないままにお金をつぎ込む」という投資で一番やってはいけないことに陥りかねません。したがって、本来は株式や債券についても勉強し、株式投資も同時に経験することが好ましいと私は思います。
投資の2つの目的
とは言え、そんな時間的余裕の無い人であれば投資信託で資産形成をするというのもありでしょう。そして投資信託の最も大きな目的は分散投資によってリスクを小さくするということですから、自ずと株式への投資とはその扱い方が異なってくるのは当然です。そこを間違えないようにすることが大事です。投資の目的には「積極的にリスクを取って儲ける」という考え方と「自分のお金の購買力を維持する」というやり方の2つがありますが、若い人で投資信託を使った投資を始めている人は恐らく前者の考え方でしょう。
しかしながら最近よく言われる「草食投資」というのは、どちらかと言えば、積極的にリスクを取るというよりもコツコツと積立をして資産形成を図ろうという考え方ですので、前述の2つの目的のまあ中間ぐらいと言っても良いかもしれません。いずれにしても投資信託で大きく資産を増やそうということであれば、いくつかの守るべき基本は知っておいた方が良いと思います。ここではその基本的な考え方を3つの観点からお話ししたいと思います。