なぜチャート分析の本ばかりが並んでいるのかというと、それはバリュエーションを理解するのに比べて、チャート分析のほうが簡単だからだと思う。
こう言うと、チャート分析を信奉している投資家からいろいろ言われてしまいそうだが、私が知っている限り、チャート分析を用いて株価の将来を予測しているプロの投資家はいない(ここで言うプロの投資家とは、顧客のお金を預かって運用する人のことを指す)。
いや、こう言うと語弊があるので、より正確な言い方をすると、「チャート分析だけで銘柄を選別したり、株価の将来を予測したりしているプロの投資家は少ない」のだ。
なぜなら、チャート分析は「ロジック」がないため、「再現性」に劣るからだ。
チャート分析で株価の未来は予測できるのか
ここで、ちょっとした実験をしてみよう。3つのチャートを用意してみた(図表1)。さて、これを見て6カ月後の株価はそれぞれの取引最終価格に比べてどうなったのかを考えてみてもらいたい。いずれも作り物ではなく、実際の株価の値動きだ。次にあげる4択のうち好きなものを選んでもらいたい。
①10%以上の値上がり
②10%以上の値下がり
③10%未満の値上がり
④10%未満の値下がり
②10%以上の値下がり
③10%未満の値上がり
④10%未満の値下がり
さて、みなさんは、ここにあげた3つのチャートの6カ月先を、どのようにして予測するだろうか。
勘で答えざるを得ない、という人もいるだろう。勝負勘の強い人なら、結構な確率で当ててくる可能性はある。しかし、それは再現性のある方法とは言えない。