転売でメリットがあるのは転売ヤーだけ
日本では2019年に「チケット不正転売禁止法」が施行され、チケットの高額転売は違法行為となった。また利益を出すことを目的として転売を繰り返していると、古物営業に当たる可能性がある。この場合は古物営業法を遵守する必要があり、違反すると罰せられる。逆に言えば、それ以外の転売行為そのものは違法とはいえないのだ。
それではなぜ、転売が問題となるのだろうか。まず、本当にほしい人が適切な価格で手に入れられないことだ。さらには、余分に支払ってもメーカー側は一切潤うことがないどころか、デメリットしかないことも大問題だろう。
転売行為がはびこり適正価格で販売できないことで、初期需要を失うこともある。それならば、と増産して商品の供給が安定化すると、転売ヤーも価格を下げて販売するが、その結果、ブームが沈静化したという印象を与えて実際にマーケットが小さくなることさえある。転売行為でメリットがあるのは中間搾取をする転売ヤーだけであり、メーカーにもユーザーにもデメリットしかないのだ。
実際、高額転売されることが多い日本酒「獺祭」製造元の旭酒造は、2017年に「お願いです。高く買わないでください」との新聞広告を出したことがある。適切な温度管理などをしないことによる品質の劣化が考えられ、ブランドに傷が付く可能性が懸念されたためだ。
転売ヤーを「爆死」させる一番簡単な方法
転売品を購入することはリスクを伴う。たとえばPS5はレシートや領収書など購入を証明するものがない場合、もし故障したとしても1年間の無料保証が受けられない可能性があるのだ。
店舗やメーカーなどが転売ヤー対策を行うだけでは、転売行為は抑えられない。転売しやすい環境が整っており、高額でも買う人がいる限り、転売ヤーの悪質な転売行為は終わらないのだ。
もし転売品を誰も買わなくなれば、在庫を抱えて仕入れ費の元が取れない「爆死」につながり、転売行為から足を洗う可能性が高い。ほしい人が適切価格で手に入れられるよう、一人ひとりが高額転売品には決して手を出さないことが最も大切なのだ。