2020年(1~12月)、プレジデントオンラインで反響の大きかった記事ベスト5をお届けします。ビジネス部門の第4位は――。(初公開日:2020年12月30日)
コーヒーチェーン最大手・スターバックスの福袋は例年即完売する人気商品だ。一方、その人気ぶりから、オークションサイトなどへの転売も横行している。転売目的の「転売ヤー」を排除し、従業員を守りながら届けるためにはどうすればいいのか。スタバの取り組みを経済ジャーナリストの高井尚之氏が取材した――。
商品本部 リテイル&ビジネスディベロップメント部の後藤護氏
提供=スターバックス コーヒー ジャパン
商品本部 リテイル&ビジネスディベロップメント部の後藤護氏

毎年「即完売」する大人気ぶり

正月の風物詩のひとつである「福袋」――。

これまでは「新年の初売りの象徴」として、お客が店舗で買い求める姿が毎年報道されてきたが、コロナ禍で外出自粛が続く2021年の年明けは、どんな状況になるのか。

福袋を用意する各社の対応もさまざまだ。実店舗での販売ではなく「オンラインでの受注」に切り替え、注文確定後に発送を行う会社も目立つ。

なかには毎年、販売後に「即完売」する人気商品もある。そのひとつが、カフェチェーン最大手「スターバックスの福袋」だ。

かつては先着順に販売したが、2018年から抽選制となり高倍率が続く。2020年は全品オンラインストアでの販売に切り替えたが、申し込みが殺到した。

本稿執筆時は、すでに応募→当選発表を経て、購入手続き(12月14日まで)も終了。当選して購入申し込みをした人は、年明けの商品到着を待つだけになった。

どんな「思い」を福袋に込めてきたのか。同社の責任者に取材を行い、送り手側の思いを中心に紹介したい。

2021のテーマは「環境に配慮&四季を感じられる」

「福袋を通じて、コーヒーを楽しむきっかけをつくり、さらに広げられたらと思って商品設計を考えています。そしてコーヒー関連グッズには、環境に配慮した要素も盛り込んだのが今年ならではです」

こう説明するのは後藤まもる氏(スターバックス コーヒー ジャパン 商品本部 リテイル&ビジネスディベロップメント部)だ。2019年から同部のリテイルグループ グループマネージャーとして「福袋の商品開発」の責任者も担う。

中身は開けてのお楽しみだが、前回はコーヒーチケットなどのグッズが入っていた。

同社公式サイトの「スターバックス福袋2021」では、すでに中身の概要も伝えられているが、そこに記されていないこだわりも紹介しよう。

「商品が入るトートバッグの生地には、リサイクルコットンを一部使用した綿帆布素材を採用しています。繰り返し使うことができるステンレスタンブラーには『四季の移ろい』をテーマにした限定デザインを施したものを、この福袋限定でご用意しました」

購入者への思いについては、こう続ける。

「タンブラーも使ってコーヒーを楽しんでいただくことで、おいしさだけでなく、少し環境にも配慮した思いをお客さまにお届けしたい。また、外出もこれまで通りとはいかなくなったこの時期に、デザインで四季を感じていただけるのではないかと考えています」

後述するが「外出もこれまで通りにはいかない」には別の思いもあるように感じた。