14歳の少女は男からベッドに誘われ…

こうした信者たちの応援により、男はバーでひと月100万円の売り上げを達成する。実際に男に貢いだと話す14歳の少女・アヤカに接触したのは、2021年7月のことだ。彼女も誘拐事件の後に、男と出会ったと話す。

少女
写真=iStock.com/maruco
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「最初、TikTokでトー横を知りました。自分と同じようなぴえん系の服を着ている男の子・女の子がいっぱいで、チョーかわいい~と思いました。だから自撮り垢(※)で『私もトー横に行きたい!』と投稿したら、彼から『待ってるね~』と返信がきたんです。あのときは嬉しかったな~。Twitterのダイレクトメッセージの交換をするようになり、『案内してあげるよ』って言われて。駅まで迎えにきてもらうことになりました」

※自撮り垢
自撮りを上げることを目的としたSNSのアカウント。裏垢(匿名のリアルとは違うアカウント)と併用して使っているパターンも多い。自撮りを上げ、「#自撮り界隈」「#オシャレさんと繋がりたい」などのハッシュタグを用いて交流を行っている。SNSで出会って会話をしたり、実際に会うケースも。そうしたコミュニティは「自撮り界隈」と呼ばれている。「自撮り たぬき」で検索すると自撮り界隈のいろんなものを垣間見ることができる。胃もたれ注意である。「たぬき」とは、ネットの匿名掲示板のこと。

当日、少女は食事をご馳走になり、男から「お金を取りにいくから、借りているホテルで待っているか、歌舞伎町をウロウロして待っていてほしい」と言われたという。少女にははじめての歌舞伎町を歩く勇気などもなく、ひとりでホテルで待っていた。そしてホテルに来た男はお酒をもっていて、「飲もう」と誘ってきたという。14歳の少女が経験するはじめてのホテルに、はじめてのお酒。そして……、ベッドにくるように誘われた。そこで初めて、男の目的を察した。彼女は必死に抵抗し、未遂で終わったという。

自宅にも学校にも居場所がなかった

「事件で未成年に手を出していたのは知っていたけど、自分もそうなるとは思いもしなかった。今思えば、バカですよね。最初会ったときに年齢聞かれて、14歳って答えたら『俺ロリコンなんだよね!』と嬉しそうに言ってました。冗談だと思ったんですけど……。話すことは楽しかったので、『エッチなことはしない』と約束して、翌日もトー横で遊びました」

アヤカの家庭環境はいたって普通だ。会社員の父と専業主婦の母、そして妹。ただ、本人が病気を抱えていた。

「2年前に適応障害って診断されました。それから父と喧嘩するたびに『お前は何でも病気のせいにする』と責められて……。学校でもいじめがあり、不登校に。でもコロナで父がテレワークで家にいることは増えた。何度も何度も喧嘩した。罵られた。自宅にも学校にも、居場所がなかった。そんなときに知ったのが、トー横でした」