「岡村発言」は批判されるべきだが一部では常識だった

【中村】北関東は男性の消費が活発で、一人一台車を所有している。新車文化もあって収入のわりに高額な車を買ってローンを組んで税金も維持費もかかる。

出費と収入が釣り合ってないのと、ギャンブルとか性風俗も盛んな地域で、お母さんとか子どもに皺寄せがいっている。まさに長男というか男が勝手し放題。

夫は家族と地元が自慢なんだけど、妻はこっそりと不倫売春しているという歪みがありますね。とくに五月の自動車税の時期には売春が活発になるとか。

【藤井】少し前にナインティナインの岡村隆史の発言が問題になりました。

「コロナが終息したら、絶対おもしろいことがあるんですよ。美人さんがお嬢(風俗嬢)やります。短時間でお金を稼がないと苦しいですから」などと言ってむちゃくちゃ叩かれた。

叩かれてしかるべきではあるけれど、でも、ちょっと北関東の現実に目を向けてほしいと思うんです。五月になると売春が増えるというのは、つまりカラダを売らなければやっていけないということですから。好きで売っているはずはない、売らざるをえない社会の現実がある。

【中村】岡村発言は風俗に詳しい者からすれば、単なる常識的な事実でした。

カラダを売らなければならないような状況がある、それだけ。構造的な要因があるということです。北関東は長男だけが優遇される長男信仰が強固に根づいていて、一家で長男だけが大切にされ、長男以外のきょうだいは放っておかれる。

放っておかれるだけならいいですが、長男以外の子どもは軽い存在なので性虐待みたいなことも頻繁にあるんです。先日も群馬県から逃げてきた女性から話を聞いたのですが、実の父親からひたすら強姦される地獄の日々を話してくれました。

【藤井】ただただ悲惨ですね。

妻のパート代で夫を風俗に送り出す異様さ

【中村】2000年代後半に摘発されてしまったけど、北関東はとにかく性風俗が凄まじかった。

伊勢崎、太田、小山。あと埼玉の越谷、熊谷などの地域では、高校卒業したばかりくらいの年齢の女の子が続々と裏風俗で働いていた。裏風俗というのは店舗型で本番サービスを提供することで、東京では考えられない業態です。

北関東の女性たちは全員が口を揃えて「この地域は男尊女卑が酷過ぎる!」と訴えていましたが、そのような女性の扱いも日常的に売春が行われる要因の一つでしょうね。

【藤井】北関東では地元民たちの性風俗の利用者が多いということですか。

【中村】地元の利用者も多いし、それだけでなく、妻が夜の営みを拒否すると親戚一同がでてきて非難をされて、妻が風俗街まで旦那を送迎するって話も聞きました。遊び代は妻が最低賃金で働いたパート代で支払ったとか。

太田や伊勢崎はあまりに若い普通の女性が働いていたので、男性客が関東全域から集まっていましたね。当時のあの性風俗街は、日本を代表するレベルでしょう。だから北関東は生活のすぐ隣りに売春がある、そういうところでみんなが育っているんです。