子育て支援策にもならない

では子育て支援策なのかというと、これもやはり疑問符がつきます。

たとえば夫婦共働きでそれぞれが年収900万円、世帯年収1800万円という家庭にも18歳以下の子どもがいれば支給されます。

一方、主たる生計者が年収1000万円で配偶者が専業主婦(夫)、加えて子どもが3人いても、所得制限にかかり1円たりとも支給されません。所得制限にかからなくても、その3人の子どもが大学生(22歳、21歳、19歳とか)で18歳を超えていると支給されません。

クーポンが仮に子育て関連に限定されたとして、乳幼児と高校生では必要なものが異なるので店舗を制限される中、本当に使えるかどうか不明。

いずれにせよ、これが子育て支援にあたらないことは誰にでもわかることです。

青空の下、赤ちゃんを高い高いする若い夫婦
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効果の検証に耐えられない政策

たとえば一般的な補助金や助成金、減税制度は「国民や企業をこういう方向に誘導したい」という政府の思惑があるもので、それを申込件数・予算の消化率・導入率といった指標、あるいは申請時の書類チェックや事後の報告・検査などのプロセスを経て効果を検証します。

検証に耐えうる制度設計は、それが国民の税金を適切に使うためのある意味ハードルになります。

しかし今回のこの施策はそういうものがなく、いったい誰のためにやるのか、何のためにやるのかがはっきりしない。

「なんとなく国民ウケが良さそうだから」「国民に寄り添った政治、政党だというアピールになりそうだから」という単なる雰囲気で決めたような印象です。

それにコロナ対策の大盤振る舞いで感覚がまひしてしまったのか、財政規律を誰も気にしない政治には寒気がしてきます。

まあ、政治家にとってはしょせん「他人のカネ」だからでしょうか。