「18歳以下への10万円給付」について、主たる生計者の年収が960万円未満という所得制限をつけることで自民・公明両党が合意した。これは児童手当が大幅に減額されるラインと同じだ。米国公認会計士の午堂登紀雄さんは「高所得者層は、この方針に疑問を感じています。でもそれはお金がもらえないからではありません」という――。
18歳以下10万円支給は景気対策にならない
この原稿を執筆している時点ではまだ確定ではありませんが、年内~来春に行われるとされる10万円相当の給付について、支給条件が以下のように固まりそうです。
・主たる生計者の年収960万円の所得制限(年収は目安で、実際には所得額で制限される)
・支給対象は18歳以下
・10万円のうち5万円は現金、5万円はクーポン
・クーポンは子育て関連に使途を限定
・支給対象は18歳以下
・10万円のうち5万円は現金、5万円はクーポン
・クーポンは子育て関連に使途を限定
ここで疑問に感じるのは、いったい誰を対象に、何を目的にした施策なのか、です。
景気対策? 生活困窮者対策? 子どもの貧困対策? 子育て支援策?
一番目の景気対策なのかというと、そうでもなさそうです。
なぜなら、前回の一律10万円給付の時のように、現金給付の多くは貯蓄に回る可能性が高いからです。
その反省をもとに半分の5万円分をクーポンに、ということかもしれませんが、それなら18歳以下に対象を絞る必要性がわかりません。
つまり景気対策ではないことがわかります。
生活に困っている人には届かない
次に生活困窮者対策なのかというと、これもそうでもなさそうです。
生活に困っているのはむしろ大人であり、さらに困窮者の中には子どもがいない夫婦もいれば、独身者もいるからです。
コロナの影響を受けているのは子どもよりも圧倒的に就労者でしょう。
つまり生活困窮者の救済にはならないのは明白です。
では子どもの貧困対策かというと、やはりそうでもなさそうです。
なぜなら、たとえばバイトのシフトが減らされて困っているのは学生など18歳以上であり(早生まれでギリギリ引っかかるかもしれませんが)、対象を広げるべきだからです。
また、十分な食事や学習用具、さらには生理用品すら買い与えられないなどといった子どもの貧困問題がありますが、子に直接渡せるならともかく、そういう親に10万円を渡しても、子ではなく親自身が使い込んでしまう可能性が高いでしょう。
そう考えれば子どもの貧困対策にもなりえない。