モデルブーム、芸人ブーム、そして子役ブーム

現在、日本で一番売れているタレントは誰かと問えば、多くの人がすかさず芦田愛菜(あしだまな)ちゃんと答えるだろう。このわずか7歳の黄金色に輝くヒヨコのように愛くるしい少女には今、なんと1日40件を超える仕事のオファーが殺到しているという。

テレビドラマ、映画、CM、そしてトーク番組のMCまで務めるこのスーパーキッズは一体どうしてここまで引く手あまたなのか。今回はこの秘密を解き明かしてみたい。

ありていに言って、彼女の魅力は一体どこにあるのだろうか。1996年の放送開始から15年以上続く日本テレビの長寿番組「メレンデの気持ち」に今年10月から最年少MCとして彼女を抜擢した北條伸樹プロデューサーは、その点について「一番は癒やされることです。大人から見て、愛菜ちゃんという子供は、笑顔だったり、仕草だったり、おしゃべりだったりが、非常に可愛く、見ている人をなごやかにしてくれます」と指摘する。例えば番組のゲストがおしっこを漏らした話を聞いたときには、弾けるように笑い転げ、視聴者はそんな子供らしい自然な仕草に、可愛らしさと癒やしを感じるのだ。

確かに現在、「癒やし」を求めるニーズは世間一般に高まっているようだ。愛菜ちゃんに限らず、メディア業界、とりわけテレビ業界では子役がブームになっている。北條プロデューサーによると、「例えば、少し以前だと芸人ブームがあり、その前にはモデルブームがありました。さらにグラビアアイドルが流行ったときもありました。そして現在はというと、子役がすごいブームになっているという実感があります」とのことだ。

今なぜ子役がブームなのか。知的情報バラエティー番組「世界一受けたい授業」で、常時子役をゲストに起用している日本テレビ・矢澤真プロデューサーはこう語る。「今、子役というものが、一つのジャンルとしてテレビ業界に確立していて、完成されています」。