物事をうまく進める人は全体観がある

誰かに何かを話して合意してもらったり、何かをやってもらったりするためには、相手にその気になってもらう必要があります。

そのためには、相手が置かれている状況や、利害関係、制約なども理解しておかなければいけません。

全体観を持つとは、今自分が関心を持っていることに関して、全体が見えていて、前提条件、参加者、彼らの間での利害関係を把握していて、どこをどう押せば望む結果になるのかがわかるということです。

ホワイトボードを使ってプレゼンするビジネスパーソン
写真=iStock.com/iryouchin
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相手が社長であっても、先代社長の番頭的な存在であった常務取締役が実権を握っている場合があります。ワンマン社長で誰からも恐れられているにもかかわらず、社員の退職が相次いでいるため、彼らの反応に気が気でない場合もあります。

したがって、役職や表面的な位置づけなどにとらわれるのではなく、全体観を持って組織の中の相手の立ち位置を把握する必要があります。

さきほどの例でいうと、

① 社長と常務取締役の人間関係、力関係
② 他の取締役の位置づけ、力関係
③ 先代社長の意向と存在感
④ メイン事業の貢献度合いと将来性
⑤ 社長が新たにもたらそうとしている新事業の可能性
⑥ 社長のビジョンへの社員の共感度の高さ

を把握し、どうなれば社長が合意してもよいと判断してくれるのか、社長は何に合意でき、何には合意しづらいのか、などの全体を見通す必要があります。

こういった全体観がないと、相手が置かれた立場の一部しか見えていないので、どうすれば合意して動いてくれるのか、合意しても動かせる立場にあるのか、そもそも相手は合意できる立場にあるのか、イメージが湧かず、間違った方向に押してしまいます。

そうすると、何も動かなかったり、動き始めても思わぬ障害が起きたり、想定しない遅れが生じたり、参加メンバーの誰かが突然怒り出したりして、頓挫してしまいがちです。

アドリブのようでいて、用意周到に準備する

物事を進める際には、アドリブも必要です。台本に沿って無理やり進めようとするのは「百害あって一利なし」なので、相手の気分や出方を見て、柔軟に対応します。

アドリブのようでいて、話の流れなどは事前にしっかり準備し、細心の注意を払っておきます。読み切れないときは、シナリオを何種類か相手の反応ごとに分けて書いておきます。

例えば、さきほどの社長の例でいうと、

① 社長自身は賛成でも、常務取締役が反対する場合
② 社長自身は賛成で、常務取締役は条件つき賛成の場合
③ 社長自身は中立で、常務取締役は条件つき賛成の場合
④ 社長自身はやや乗り気がせず、常務取締役は賛成の場合

など、合意に持ち込めそうなシナリオを検討しておきます。

それぞれ何を言うべきか、どこまで譲歩すべきか、どこまで押し込むべきか、どういう代替案を出すか、どういう条件を追加するかなどですね。

そうすれば、アドリブのようでいて、用意周到であり、細心の注意で進めていくことができます。

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