ビジネスで人との会話を盛り上げて、成果につなげるにはどうすればいいか。マッキンゼー出身のコンサルタント、赤羽雄二さんは「どんな質問でも即答したほうがいい。信頼感も高まり、仕事の生産性も確実に上がる」という――。

※本稿は、赤羽雄二『マッキンゼー式 人を動かす話し方』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。

ビジネスに関する質問が次々と
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ゆっくり考えても回答の質は上がらない

世の中には素早く考えることができる人と、時間が必要な人がいます。

ただ、できるのであれば、質問には即答したほうがいいです。そのほうが、信頼感が高まるからです。ミーティングの生産性も確実に上がります。

ゆっくり考える人を観察すると、より多く、より深く、より網羅的に考えているというよりは、多くの場合、考えるプロセス、ステップがゆっくり進んでいるだけに見えます。

別に質が上がるわけではなく、単に「考えるスピードが遅い」状況です。

「時間をかけて考えないとよい考えにならない」と思い込んでおられる方にもよくお会いしますが、言うほど深まっているようには見えません。

時間をかけることに関して、例外はあります。囲碁、将棋、チェスなどの達人は、必要に応じ長考します。ただ、その時間中、すさまじいスピードで頭を回転させながら、手を読み続けています。こういう人の話は別です。

仕事の速い人は考えが浅くなるのか、というと決してそうではありません。考えが速く、仕事が速く、どんどん結果を出していくことができます。

クロック周波数の速いCPUが雑な計算をするのではないのと同じで、素早く、的確に、特にミスなく考えることは、訓練により誰でもできるようになります。

私はコマツのエンジニアだったときはごく普通でしたが、マッキンゼーに入って徹底的に鍛えられました。マッキンゼーは社外の3倍速いとか言われて、過酷な要求もありました。

赤羽雄二『マッキンゼー式 人を動かす話し方』(クロスメディア・パブリッシング)
赤羽雄二『マッキンゼー式 人を動かす話し方』(クロスメディア・パブリッシング)

ただ、やってみるとできないことはなく、それ以降も加速し続けました。スピードアップに味をしめたとも言えます。

マッキンゼーの中で部下が45名に増えたとき、マッキンゼーをやめて部下がゼロになったとき、支援先が10数社になったとき、インドとベトナムに毎月出張しなくてはいけなくなったとき、さらにスピードアップしてしのぎました。

この経験から言えることは、スピードアップには限りがないということです。その後も加速しています。多くの方にコーチングして、実際にスピードアップを経験していただいています。

誰でも、訓練次第では、考える速さが数倍に上がります。考えの質が落ちるわけではありません。