※本稿は、プレジデントオンラインアカデミーの連載『自分の仕事、会議、企画、任せ方、予算、採用、新規事業、撤退……いつも優柔不断な人のための「ゼロ秒で決める」技術』の第1話を再編集したものです。
なぜ会議は延々と続くのか?
終わりの見えない会議、案件ごとに混乱が続くプロジェクト。これらは皆さんの職場でもよく見られるシーンかもしれません。いったい、何が問題なのでしょうか。
まず、限られた情報で判断を迫られることがよくあります。これは、情報が不足しているか、または情報が適切に整理されていないか、あるいはこれまでの情報に基づく仮説が不足していて適切に状況を読み取れていないかのいずれかです(経営者あるいは上司が意思決定できない、意思決定を先延ばしする、という問題もありますが、今回、読者の皆さんが、ある程度意思決定できる当事者である、という想定でお話しします)。その結果、不完全な情報に基づいた判断が行われ、思わぬ誤りを生むことになります。
次に、国内外の最新動向について知識が不足していることも問題の一つです。ビジネス環境は日々変化しており、さらにその変化が加速しています。変化を理解し、すばやく適応することが求められますが、そのためには常に最新情報の把握が重要です。把握していると思っていてもあっという間に鮮度が落ちているかもしれません。また、常に最新情報を把握できているという安心感が不可欠です。安心感がないと、思い切って意思決定することができません。意思決定しても、その後、直ちに動くことができません。
さらに、ChatGPTという世界中の叡智にアクセスできるはずのツールを使ってみたものの、うまく使えないことが問題になっています。話題になっているために皆ちょっとはかじりますが、思ったような情報が出てこないとか、間違った情報が混じっているなどで、期待はずれだったという声も聞かれます。また、頑張って使おうとしても、上司が懐疑的な目で見ているので、おおっぴらに使うことが難しいというケースもあるようです。
どの情報が重要か、無関係か
では、これらの問題の本質とは何でしょうか。
まず一つ目は、どこまでどういう情報を取ってくるべきかが明確でないことです。情報収集に必要な範囲や質が不明瞭であると、どの情報が重要でどの情報が無関係であるのかを判断するのがむずかしくなります。
二つ目は、情報感度そのものが低く、情報についての判断ができないことです。情報に対する感度が低いと、重要な情報を見逃す可能性が高くなります。気づかずにいるうちに大問題が生じてしまう、というようなことです。また、情報を適切に判断するための視点や思考法が欠けている場合、その情報が意味するところを正確に理解することができず、誤った結論を導くことになるでしょう。2022年暮からAIが劇的に活用されるようになりましたが、試みもせずに自社には関係がないとか、自分の業界は伝統的な産業なので全く使えないと思いこんでいるようなケースです。
三つ目は、ChatGPTの使い方についての知識が不足していることです。ChatGPTは非常に強力なツールですが、その機能を十分に活用するためには、適切な使い方を理解していることが必要です。そうでなければ、有益な情報を逃す可能性があります。それどころか、間違った情報をしれっと混ぜてくるので、使う側に判断する目がないと大きな間違いをしてしまいます。ちょっとしたやりとりだともっともらしい答えを返してくるので、人によっては感動し、大変賢くて頼れる人に相談しているかのような錯覚に陥りがちです。ところが、ChatGPTはあくまで開発途上のAIツールに過ぎず、正誤判断や善悪の概念、論理的な思考は全くありませんので、使える部分だけをうまく使う必要があります。ChatGPTは「単語」に対して一番“確率が高い”と思われる別の単語へのつながりを次々と予測して「文」を生成するのがその原理です。一見もっともらしい「文章」であったとしても、その生成の仕組み上、正確性は全く保証されていません。