ChatGPTで得た情報をクロスチェックする

問題の本質を理解した上で、では、どのように改善策を考えるべきでしょうか?

1.まず、ChatGPTでどういう情報を取得できるのかを理解することが必要です。ChatGPTは世界中の無料情報をデータとして読み込み、学習したAIツールです。それが無料のものである限り、あらゆるトピックについての情報を引き出せます。例えば、世界の最新動向、専門知識、もちろん一般的な知識まで、幅広い情報を得ることが可能です。ただ、先ほどもご説明したように、こちらからの質問に対して、語と語のつながりとして確率が高いと思われる文字列を返してくれるだけです。文章としては滑らかなものに感じられますが、その中には間違ったことや当たり前過ぎることも平気で書いてありますので(間違いとか当たり前という概念が全く存在しない)、それを考慮して使う必要があります。Kindleなどの書籍の情報にはアクセスしているかもしれません。「村上春樹風の文体で書いてほしい」と指示をするとそれなりの表現になるからです。ただし、ChatGPTを提供しているOpenAIから具体的な説明はありません。法人向けプラットフォームである「法人GPT」を導入した企業の場合は、ChatGPTのデータベースに加えて、その企業の情報を加えることができると言われていますが、まだ実用は始まったばかりです。

2.次に、ChatGPTで取得する情報をクロスチェックして確認できるようにすることが重要です。情報を鵜呑みにするのではなく、他の情報源と照らし合わせて確認し、情報の信頼性を担保することが求められます。ChatGPTだけでも、同じプロンプト(=指示)を何度か入れて回答を見比べると、クロスチェックが若干できます。内容によっては、日本語で回答を求めたものと、英語で回答を求めそれを日本語に翻訳してもらったものとを比べることも有効です。

チーム内で「はまりすぎる」人が生まれたらチャンス

3.チーム内にChatGPTに詳しい人を何人かつくると安心です。これにより、チームでの情報収集や問題解決において、ChatGPTを活用するノウハウが共有され、全体の情報収集能力と精度が向上します。ChatGPTに詳しい人をつくるためには、上司がChatGPTの使用を全員に勧め、すぐに動き出した数名にさらに声をかけ、背中を押してあげることが必要でしょう。ChatGPTにはゲーム性がありますので、何名かに一人はものすごくはまります。むしろはまりすぎるくらいになりますので、質問をしたり、ちょっとした発表をしてもらったりして、いい具合に詳しく、仕事にうまく使える人間をつくるというイメージです。

4.最後に、これらの数名を活用して、チーム内でChatGPTによる情報収集のベストプラクティスを確立します。こうやったらよかった、こういう順序でやると一番生産性が上がった、というような情報収集のベストプラクティスを彼らに発表してもらい、他の全員が学べる場とします。これにより、情報収集のプロセスが標準化され、情報の品質と速度が維持されるようになります。

以上のように、ChatGPTを活用して情報収集のスキルを向上させることで、「ゼロ秒で決める」技術を身につけ、優柔不断な人でも確信を持って決定を下せるようになることが期待できます。

(図版作成=大橋昭一)
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