「リバウンド」は意志の力と無関係

こうした実験結果を見れば、カロリー制限ダイエットが体にもたらす影響は明白である。

たとえば、ある女性がダイエットに取り組む前には、一日に2000キロカロリーの食事をし、2000キロカロリーを消費していたとしよう。医者の勧めに従って彼女はカロリーを制限し、1回の食事量を減らし、低脂質の食事を心がけ、一日に摂るカロリーを500キロカロリー削減する。

すぐに、彼女の総エネルギー消費量も500キロカロリーか、それ以上に落ちる。すると、彼女はめまいと倦怠感を覚えるようになり、寒がり、常に空腹を感じ、イライラして気分が落ち込んだりする。

それでも、そのうちきっとよくなるだろうと信じてダイエットを続ける。始めは体重が減ったが、削減された摂取カロリーに見合うように彼女の体がカロリー消費量を抑えるようになると、体重は横ばいになる。

彼女は医者の言う通りに食事制限をしていたにもかかわらず、1年経っても事態は改善しない。そしてカロリーを制限した食事を同じように食べ続けても、やがて体重は少しずつ戻り始める。

リバウンド
写真=iStock.com/BBuilder
※写真はイメージです

ほとほと嫌気がさした彼女はうまくいかないダイエットをやめ、また元通り一日2000キロカロリーの食事を摂り始める。

彼女の代謝活動によるエネルギー消費量は一日1500キロカロリーまで落ちていたので、あっという間に彼女の体重は増え、以前よりも太ってしまう。周りにいる人たちは、彼女の意志の弱さが原因だといって非難する。

あなたにもこんな経験がないだろうか? 彼女の体重が戻ったのは彼女の失敗ではない。こうなるのは当たり前なのだ。

ここに書いたことはすべて、過去100年の間に詳細に記録されてきたことだ!

※1 Wright JD, Kennedy-Stephenson J, Wang CY, McDowell MA, Johnson CL. Trends in intake of energy and macronutrients: United States, 1971-2000. CDC MMWR Weekly. 2004 Feb 6; 53(4):80–2.
※2 Ladabaum U et al. Obesity, abdominal obesity, physical activity, and caloric intake in us adults: 1988 to 2010. Am J Med. 2014 Aug; 127(8):717–27.
※3 Griffith R, Lluberas R, Luhrmann M. Gluttony in England? Long-term change in diet. The Institute for Fiscal Studies. 2013. Available from: http://www.ifs.org.uk/bns/bn142.pdf. Accessed 2015 Apr 26.
※4 Kolata G. In dieting, magic isn’t a substitute for science. New York Times [Internet]. 2012 Jul 9. Available from: http://www.nytimes.com/2012/07/10/health/nutrition/ q-and-a-are-high-protein-low-carb-diets-effective. html?_r=0. Accessed 2015 Apr 8.
※5 Benedict F. Human vitality and efficiency under prolonged restricted diet. Carnegie Institute of Washington; 1919. Available from: https://archive.org/details/humanvitalityeff00beneuoft. Accessed 2015 Apr 26.
※6 Keys A, Brožek J, Henschel A, Mickelsen O, Taylor HL. The biology of human starvation (2 volumes). MINNE ed. St. Paul, MN: University of Minnesota Press; 1950.
※7 Guetzkow HG, Bowman PH. Men and hunger: a psychological manual for relief workers 1946. Elgin, IL: Brethren Publishing House; 1946.
※8 Kalm LM, Semba RD. They starved so that others be better fed: remembering Ancel Keys and the Minnesota Experiment. J Nutr. 2005 Jun 1; 135(6):1347–52.
※9 Ancestry Weight Loss Registry [Internet]. Blog. They starved, we forgot. 2012 Nov 4. Available from: http://www. awlr.org/blog/they-starved-we-forgot. Accessed 2015 Apr 8.
※10 Pieri J. Men starve in Minnesota. Life. 1945 Jul 30; 19(5):43–6.
※11 Rosenbaumetal. Long-term persistence of adaptive thermogenesis in subjects who have maintained a reduced body weight. Am J Clin Nutr. 2008 Oct; 88(4):906–12.

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