※本稿は、鈴木進介『仕事は1冊のノートで10倍差がつく』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。
思考を整理するときはスマホ入力より手書きノート
「ノートに書くといいのはわかるけど、面倒なんだよね。スマホでメモするのはダメなの?」
この質問はこれまでごまんと受けてきました。「スマホがいいか、ノートがいいか」という神学論争です。
私の答えはハッキリしています。「思考するにはノートがいい」です。
厳密に言うと、目的に応じて使い分ければいいのです。
私は商談の記録など情報の「ストック目的(蓄積や共有)」の場合、スマホやPCを中心に使います。デジタル情報の場合、あとでコピペなどをしながら資料作成や検索性にも優れているからです。
一方、思考を整理するときや、整理して正解を考え出す「フロー目的(その時々でベストなアウトプットをするだけ)」の場合、ノートへの手書きを重視します。
スピーディーに図解で整理がつき、手で書くことで脳が刺激されて発想が豊かになるからです。
パソコンや携帯では前頭前野が全く働かない
ノルウェー科学技術大学(NTNU)の研究チームの実験によると、20代の若者を対象に脳の電気的活動を追跡したところ、「キーボードのタイピング」より「手書き」のほうが脳活動が活発であったそうです。(『Frontiers in Psychology』2020年7月)。
また、東北大学加齢医学研究所所長の川島隆太氏によると、手書き作業は思考や創造性を担う脳の前頭前野を活性化させてくれるそうです。文章を書くときの脳活動計測では、手書きで手紙を書くと前頭前野はたくさん働くのに、パソコンや携帯電話で手紙を書かせても前頭前野はまったく働かないという実験結果が出たとのことです(東洋経済オンライン『スマホが脳の発達に与える無視できない影響』2018年5月)。
では、スマホの使用はダメなのかといえば、そんなことはありません。頭の中を見える化するという目的は少なくとも果たせますので、電車内など手書きがやりづらい場合は、スマホへの入力でも効果はあります。ノートとスマホは、いずれもメリットやデメリットがありますので、目的に応じて使い分けましょう。