「自分が仕事で成果をあげることで子供は自分の親を誇りに思い、自身も勉学を頑張ろうとするだろう」、たとえばこう考えるだけでも、やる気を出す意味はどんどん広がっていくのである。
同じく外資系の生命保険会社で、顧客のところに直行し、商談が終われば直接帰宅することを許されている50歳のベテラン営業マンD氏は次のように語った。
「私は管理者ではありませんし、会社に出社することも最低限でいいとされていますが、あえて会社へ行き、社内で後輩の相談にのるようにしています。後輩はライバルでもあり、自分を脅かす存在でもあるのですが、それでもこれをやる理由は、感謝されることで、自分も人の役に立っていると感じることができるからです。自己満足ではありますが、やはり他者に頼りにされる、必要とされるということを実感できるから、自分ももっと頑張ろうという気持ちになるのです」
人間が何かの活動を行ううえで、モチベーションをどう維持するかは極めて重要なテーマである。モチベーションにはさまざまな研究や理論があるが、結局のところ「自分は何か有益なことをやりとげたという達成感をもちたい」「その結果として他者に喜ばれたい」「そして、そのことを認めてくれる仲間に恵まれたい」ということが一番重要で、これらを満たしている人は、何歳になっても生き生きとしている。
組織のなかでは、ベテラン「トップ営業マン」として、自分の業績だけではなく、同僚や後輩の成長を支援するために力を尽くすことで存在価値も高まっていくことは確かで、そういう貴重な人材は高く評価される。もちろん評価のための「無償の奉仕」ではないが、結果として組織からも認められることで居心地はよくなり、協力者も増え、さらに自分の仕事もうまく回っていくことが期待できる。