モチベーションを高く維持する唯一の方法とは

『大人が変わる生活指導』(日経BP社)などの著書で知られる原田隆史氏は、「基本を大事にすることの重要性」を説いている。「人生のなかで成功するとついつい天狗になって、基本を疎かにすることはよくある。基本を大事にするということは、感謝の意を示すべきときは感謝し、謝罪すべきときには謝罪するということである。たとえ相手がどれほど未熟でも相手によって対応を変えないというのは、人間としての基本でもある」。

この原田氏の言葉は、ベテランであればあるほど肝に銘じておきたい。クライアントのトップには丁寧な言葉を使うが受付の人には慇懃無礼な態度になったりしていないだろうか。

ルーティンワークを嫌がらずにやれ、基本に忠実であれ、相手によって対応を変えるな。いずれも新入社員への小言のようだが、むしろ経験を重ねたベテランだからこそ意識しなければならないテーマなのである。

(3)無償で他者に奉仕せよ

ベテランということはすなわち、その仕事を長くやっているということである。長く仕事を続けていくうえで難しいのは「モチベーションの維持」である。ベテラン営業マンはどうやってモチベーションを維持し向上し続けているのだろうか。

「モチベーションを上げる方法はたった一つ、他者に無償の貢献をすること、これだけです」

生命保険会社で長く活躍する45歳のトップ営業マンC氏は、「困った人を助ける」「頑張っている人を応援する」「人を笑顔にさせる」などの他者奉仕を続ける限りモチベーションはダウンしないと語った。

「他者に無償の奉仕をすれば、他者からの感謝が返ってきます。それによって自分の存在価値をあらためて実感することができるからです」

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40代からの自己啓発サイクル

「収入を増やして一戸建てを購入する」とか「目標売り上げを大きく超えたらボーナスが増えるのでそれで高級外車を買う」などの自分のための目標は、それが達成されればモチベーションの源泉としての価値はなくなる。しかし、家族、親戚、顧客、そして社内にいる同僚や後輩などをみつけ、まずはその人に喜んでもらうためにできることは何かを考える。自分は一人だが、他者は無限に存在する。だからモチベーションの源泉はなくなることはないという考え方だ。