アメリカで合法大麻ビジネスが急成長している。国際ジャーナリストの矢部武さんは「米国の大麻市場は前年比46%増で2兆円に迫る勢い。さらに通販大手アマゾンが全米での合法への支援を始めており、否定的なイメージは払拭されつつある」という――。
コロナ禍でも急成長する「アメリカの大麻産業」
新型コロナウイルスの世界最大の感染国となった米国ではロックダウンや外出制限などで多くの産業が深刻な打撃を受けている。そんななか、飛躍的な成長を続ける産業がある。かつては非合法薬物として禁止されていた大麻である。
拙著『世界大麻経済戦争』(集英社新書)でも紹介したように、大麻はいま、「有害性(危険性)よりも有用性の方が大きい」と広く認識されて世界中で解禁が進んでいる。病気の治療などに使用する医療用大麻は47カ国で、一般成人が娯楽目的で使用する嗜好用大麻は2カ国で合法化されている。
米国内でも2021年9月現在、36州で医療用が18州で嗜好用が合法化され、大麻関連ビジネスが活況を呈している。その勢いから「グリーンラッシュ」と呼ばれるほどだ。
米国ではコロナ禍で大麻産業は必要不可欠な「エッセンシャルな業種」と見なされた。これは大麻が人々の生活の中に深く入り込んでいることを示す象徴的な出来事となった。
本稿では、若い女性にも大人気となっている大麻成分入りのクッキーやブラウニーなどを生産・販売する「食用大麻」会社の成功の秘訣を明らかにしながら、コロナ禍の逆風下でも過去最高の売上を更新し続ける米国の「合法大麻」ビジネスの実態をレポートし、大麻市場の将来の可能性についても探ってみたい。