2020年の合法大麻の売上高は過去最高の175億ドルに
米誌『フォーブス』は2021年5月3日号で、「医療用と嗜好用の大麻解禁が進むなか、米国人はかつてないほど多くの大麻を消費している。2020年の米国全体の合法大麻の売上高は前年から46%増加し、175億ドルに達した」と報じた。
これを日本円に換算すると約1兆9250億円となり、日本たばこ産業の2018年度の売上高、2兆2400億円にほぼ匹敵する。合法大麻産業が飛躍的な成長を遂げている要因としては、主に3つあげられる。
1つは新型コロナウイルスの最初の感染拡大が始まった2020年3月、カリフォルニアなど嗜好用大麻を合法化した州の多くで、大麻が食料品や医薬品などと同じように生活に必要な「エッセンシャル」として認められ、生産・販売などの業務が許可されたことである。
米国では厳しい外出制限により、小売店やレストラン、映画館などの多くが営業停止に追い込まれた。そんななか、大麻販売店は店頭での販売に加えて電話やインターネットで注文を受け、顧客宅へ配達するデリバリーサービスを行い、売上を伸ばした。
また、この時期は家でリモートワークをする人が増えてストレスや家庭内暴力などの問題が深刻化した。その結果、大麻の持つ「人をリラックスさせる効果」が売上増加につながったのではないかとの指摘もある。実際にニューヨークのバッファロー大学の研究調査では、「大麻を使用したカップルの間では暴力の報告件数が少なかった」という。
合法化地域では成人の約4割が大麻を使用している
2つ目の要因は、嗜好用大麻の合法化が進むなかで一般成人の大麻ユーザーが増え、それにつれて消費量も増えていることである。
フォーブスの記事によれば、2020年末時点で嗜好用大麻を合法化した州に住む成人のうち、大麻を使用している人の割合は前年の38%から43%に増えたという。
ちなみに米国全体でお酒を飲む人の割合を示すアルコールの市場浸透率は約60%だが、大麻はそれに迫る勢いとなっている。
3つ目の要因は、大麻の摂取方法において新しいトレンドが現れてきていることだ。
つまり、これまで主流だった大麻草の葉や花を乾燥させた乾燥大麻を吸引する方法に加え、大麻成分を注入して作るクッキーやブラウニーなどの「食用大麻」(エディブルとも呼ばれる)を好む顧客が増え、それが合法大麻全体の売上高を押し上げているのだ。