アマゾンが連邦レベルでの大麻合法化を支持
このように米国の合法大麻市場は州レベルで急成長しているが、連邦レベル(連邦法)ではまだ合法化されていない。しかし、大麻に対して寛容な姿勢を示すバイデン政権が誕生したことで、連邦合法化に向けた動きが一気に進んでいる。
2020年12月4日、議会下院が大麻を禁止した連邦法を改正し、大麻の生産・流通・所持などに対する刑事罰を廃止する「マリファナ機会・再投資・抹消法(MORE法)」の法案を可決した。
これには過去の大麻犯罪記録の抹消、大麻の取締りで打撃を受けた地域社会への再投資、合法的に生産・販売される大麻製品への課税などの条項が含まれるが、大麻を連邦法で合法化する法案が下院で可決されたのは米国史上初めてである。
下院での可決を受けて、上院民主党は7月14日、MORE法とほぼ同じ内容の法案(CAOA)の討議草案を提案したが、両党の議席が50対50と勢力が拮抗している上院での審議は難航している。
そんななか、合法化の賛成派に「強力な援軍」が現れた。
GAFAの一角でインターネット通販最大手のアマゾンが、「MORE法を積極的に支持する」と表明したのである(政治ニュースサイト“ポリティコ”、2021年7月20日より)。
アマゾンは大麻に比較的ゆるやかなスタンスを取っており、従業員や応募者の大麻使用の有無を調べる薬物検査も実施していない。
大麻の連邦合法化を求める活動をしている団体「マリファナ規制法の改正を求める全米組織(NORML)」などはアマゾンの支持表明を大いに歓迎し、同社が上院での法案可決のためのロビー活動をしてくれることを期待していると述べた。
2026年までに現在の2倍以上の市場に
するとアマゾンは9月21日、自社サイトで、法案可決に向けて議会へのロビー活動を開始したことを明らかにした。豊富な資金力と多大な影響力を駆使した同社のワシントンでのロビー活動には定評があり、これは法案賛成派にとって大きな助けになるだろう。
多くの米国人に身近な存在のアマゾンがそうしたことで、大麻に対する否定的なイメージが改善される可能性がある。将来的には、アマゾンが大麻スイーツなどを販売することも十分に考えられる。
大麻産業の市場調査や分析を行っている「BDSA」は、米国の大麻の年間売上高は2026年までに410億ドル(約4兆5100億円)に達すると予測している。2020年の売上高の約2.3倍である。
上院民主党トップのチャック・シューマー院内総務らは現在、連邦合法化に否定的な共和党議員との話し合いや説得を積極的に行っている。この法案が上院で可決されれば、大麻に寛容なバイデン大統領によって署名される可能性は高い。
そうなれば、米国の合法大麻市場はこれまで以上の水準で成長を続けるだろう。