絶対王者アマゾンも安泰の地位とは言えない

ECにおいて絶対王者の存在感を放つアマゾンですが、今後のトレンドを鑑みると、安泰なポジションにあるとは決して言えません。小売事業者を通すことなく、メーカーが直接エンドユーザーに商品を販売する「D2C(Direct to Consumer)」の動きがあるからです。同じことが楽天やヤフーにも言えます。

山本康正『2030年に勝ち残る日本企業』(PHPビジネス新書)
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本来であれば、エンドユーザーがメーカーから直接商品を買うことが望ましいことは言うまでもありません。中間マージンが上乗せされることがありませんし、カスタマーサポートも含めた各種のやり取りがダイレクトでスムーズだからです。実際、アップルはほとんどの製品で、自社のECサイトや店舗から直接エンドユーザーに販売する形態を取っています。

一方で、資本の乏しいメーカーがリアル店舗を持ち、営業することは難しい。オンライン上に自社のECサイトを展開して直販する場合でも、その制作費用はもちろん、決済システムの構築など、越えるべきハードルはいくつもありました。そのため、手軽な手数料で利用できるアマゾンや楽天といった大手ECプラットフォームを利用していたわけです。

しかし、このような状況を打破するサービスを提供するベンチャー企業が現れました。誰でも手軽に安価でECサイトを作成・運営できるプラットフォームを提供する、ショッピファイ(Shopify)やBASEなどです。決済においても、ストライプ(Stripe)というベンチャー企業が、プログラミングの高度な知識がなくても数行のコードで行なえる仕組みを開発し、提供しています。

ショッピファイは「アマゾンキラー」とも呼ばれています。「食べチョク」などの産地直送ビジネスが隆盛していることからも、今後もD2Cが小売業界の中で存在感を持つことは間違いないでしょう。

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