決選投票でカギを握るのは二階氏か
政策や政治手法の違い、世代間の争い、そして個人的な怨念。これらを巻き込み、河野氏は「4A」と対峙している。その象徴のひとつが野田氏の出馬といえるのかもしれない。出馬表明の際の「推薦人20人を整えていただき」という言葉からも、自分の意思とは違うところで20人が「整った」ことが垣間見える。
この結果、総裁選は河野氏と岸田氏の決選投票となる可能性が高まり、最終的に岸田氏が勝つ道も見えてきた。決選投票となれば4A側は岸田氏の側につくことになるだろう。
派閥の縛りが溶けて新しい構図になってきたという評価もある今回の総裁選だが、一皮むけば、むき出しの権力闘争であることは何ら変わらないのだ。
最後に、もう1人、より複雑な動きをみせる人物の話を書いておきたい。二階俊博幹事長だ。二階氏も、河野氏の政治手法に違和感を持ち、急速な世代交代を警戒している1人だ。野田氏の推薦人には二階派議員8人が名を連ねた。そこまでは「4A」と同じだ。
ただし、河野氏と岸田氏の決選投票となると4Aと二階氏の間では、違う思惑が見えてくる。
岸田氏は総裁選出馬にあたり、幹事長などの党役員を「3期3年まで」という公約を掲げ、事実上の「二階外し」を画策。二階氏を激怒させた。「岸田か、河野か」という選択になった場合、二階氏は究極の選択として「河野氏のほうが、よりまし」という選択をするかもしれない。この結果、決選投票にもつれこめば、きわめて複雑な数合わせとなるだろう。