各社の世論調査の共通点は「想定の6割」より低いこと

発足直後の岸田政権に早くも逆風が吹き始めている。報道各社の世論調査で岸田内閣の支持率が思いのほか低いのだ。政権発足直後の「ご祝儀相場」のまま衆院選に突入して圧勝する短期決戦シナリオを描いていた自民党。「こんなはずでは」のささやきも漏れ始めた。

国会で第100代首相に指名され、官邸に入る自民党の岸田文雄総裁
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国会で第100代首相に指名され、官邸に入る自民党の岸田文雄総裁=2021年10月4日、東京・永田町

岸田政権発足に合わせて報道各社が行った調査結果をまとめておこう。

共同通信社が支持率55.7%、不支持率23.7%
朝日新聞が支持率45%、不支持率20%
毎日新聞が支持率49%、不支持率40%
読売新聞が支持率56%、不支持率27%
日経新聞が支持率59%、不支持率25%

世論調査を定点観測していない人にとっては、各社の数字のずれが気になるかもしれない。朝日、毎日のように自民党に批判的な論調の新聞社の内閣支持率が低めで、自民党寄りの読売新聞などが高くなっているのはどういうことか。ネットなどでは「マスコミが数字を操作している」というような声もみかける。

こうした差が出ているのは、設問や調査方法が微妙に違うからだ。さらに、電話がかかってきた人はどこの社から電話が掛かってくるのかによって回答を変える傾向がある。例えば、「支持」か「不支持」か定まっていない人が朝日新聞から電話を受けたら、朝日新聞の論調に合わせて「不支持」と答えてしまうことがある。一方で「不支持」の人が読売新聞から電話を受けたら、回答せず切ってしまうこともあるだろう。それらの積み重ねで、内閣支持は朝日が低め、読売は高めに出る傾向がある。

朝日新聞のサイン
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一連の数字の「幅」に関しては今後、精緻に検証する必要があろうが、各社のデータで一致する点がある。岸田内閣の支持が、想定より低いということだ。自民党内の予測では「岸田内閣の支持は6割程度だろう」との見方が強かった。