特番冒頭、テレビは「自民単独過半数は微妙」と報じていたが

ハロウィーン選挙となった衆院選は、自民党が追加公認も含めて絶対安定多数を確保した。マスコミ各社は、躍進を予想していた立憲民主党が不調だったことを取り上げ「野党共闘の戦略ミス」の大合唱だ。しかし、本当に野党共闘は大失敗だったのか。そこには野党躍進を予想したマスコミが責任をなすりつける構図がすけて見える。

立憲民主党の執行役員会で辞任の意向を表明する枝野幸男代表(奥左)。同右は福山哲郎幹事長=2021年11月2日、衆院議員会館
写真=時事通信フォト
立憲民主党の執行役員会で辞任の意向を表明する枝野幸男代表(奥左)。同右は福山哲郎幹事長=2021年11月2日、衆院議員会館

10月31日午後8時。自宅でテレビを観ていた人たちは、政治が大きく動く予感を感じ取っていたことだろう。選挙特番を編成していたNHKは民放各社が一斉に各党の獲得予想議席を報じたのだ。NHKは自民党が「233の単独過半数ギリギリ」と報じた。民放各社や新聞社も概ね230から40の間に収まっていた。一方、立憲民主党は、幅はあるものの公示前勢力の110から上積みをして140程度まで上がる可能性があるとしていた。

最終的な結果は、ご承知の通りだ。自民は追加公認もあわせて261議席に達した。公明党も3議席増の32と堅調。一方、立民は96議席で、まさかの14議席減。共産党も議席を減らし、野党共闘を主導した両党には、厳しい結果となった。立民の福山哲郎幹事長は選挙結果が出た1日「議席を減らしたのは大変残念だ。私自身の対応は腹を決めている」と辞任する考えを表明。2日には枝野幸男代表の辞任が決まり、新しい代表選びが始まった。

一方、岸田文雄首相の方は31日のインタビューや11月1日の記者会見で「引き続き、自公政権の安定した政治の下で、国の未来をつくり上げていってほしいという民意が示され、大変ありがたい。自民党に対しても、貴重なご支援をいただいた。自民党として、国民の負託に応えていく」などと発言。マスコミ各社は「自民勝利、野党共闘失敗で大敗」と声高に叫んでいる。