プロレスラー政治家、参院議員、金沢市長の三つ巴
3月13日に行われる石川県知事選が、大変なことになっている。これまでは「保守王国」として保守系の元官僚が多選を繰り返してきたのだが、今回は自民党系から元閣僚、元参院議員、そして現職の金沢市長が名乗りを上げて大混戦なのだ。
1月20日現在で出馬表明しているのは3人。まず元衆院議員で文科相を務めた馳浩氏。「プロレスラー政治家」として知名度は抜群だ。2人目は参院議員の座をなげうって表明した山田修路氏。知名度は高くないが、元農水官僚で、第1次産業のスペシャリストだ。選挙も強い。
そして今年になって名乗りを上げたのが金沢市長の山野之義氏。県都金沢の市長を3期務めており、知らない県民はいない。1月13日、山野氏は「中核市の県庁所在地の市長として培った経験を県政に活かしたい」と出馬表明した。
市長辞任によって金沢市長選も同日に行われる見通しとなり、石川県では「盆と正月が一緒に来る」という展開となった。山田氏の辞職に伴う参院補選も4月に待ち構える。
1963年から現在まで、石川県知事は2人しかいない
現職の谷本正憲知事は自治官僚、石川県副知事を経て1994年(平成6年)、知事選に出馬。以降、7期連続当選し、今、現職知事としては最多選となる。ことし3月に28年間、主を務めた県庁を後にする。
新型コロナウイルスが全国にまん延し始めた2020年3月には「(東京の人は)息抜きしたければ、無症状の人は(石川県に)お越しいただければ」と発言。その後、県内で感染者数が急増したことで、県民からバッシングを受けるなど放言癖はあったが、総じていえば抜群の行政手腕を誇り、県政界をグリップしてきた。
ちなみに谷本氏の前任、中西陽一氏は1963年(昭和38年)に初当選し、8期目の途中で死去した。つまり昭和後半から平成を経て令和の世になるまで、この県では2人の知事が君臨してきた。知事交代は「改元並み」の出来事なのだ。