選挙区では「野党共闘」の効果はあった

過半数の233議席を争う政権選択の衆院選において、自民党単独で259議席とったことは立派な勝利ではある。ただし、過去3回の結果と比べると明らかに後退している。立民の96も、衆院選で野党第1党が取った議席としては、まずまずの伸張といえる。ましてや9月末には総裁選効果で自民党は300議席近く取るとの見方もあった選挙である。自民党は、最近の実績や戦前の見立てとくらべれば不振だった。

共同通信社の集計によると289選挙区中、2割を超える64選挙区で当選者と次点の差が1万票未満の接戦だった。このうち5野党が候補を一本化したのは59選挙区で、自民党は32勝した。立民など野党5党が1本化した候補が26勝、日本維新の会が1勝だったという。

今回の小選挙区で自民党の勝利は187。17年の218から大きく後退した。一方、立民は今回小選挙区で57勝。17年の18勝から約3倍になった。勝った選挙区の多くは野党が一本化したもの。これらのデータから、野党共闘は「効果あった」といえるだろう。

国会議事堂
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ただし比例では「共産党と組むなら入れない」

ただし、比例代表の結果を見ると別の民意も見えてくる。立民は比例代表で17年の37議席から今回は39議席と微増にとどまった、共産党は比例代表での獲得は9議席で、4年前の11より減らした。このことは、立民が共産と組むこと、共産が立民と組むことへの違和感を国民が持っていることが分かる。

「今回は自民党には入れたくない」という有権者は小選挙区では相当程度、野党統一候補に投票。そういう意味で野党共闘効果はあったのだが、比例では立民や共産ではなく、大躍進した日本維新の会や、共産党との共闘に消極的だった国民民主党に流れた。

事前に議席増が予想された維新はさておき、国会の中で埋没している国民民主が公示前の8から11議席に増した理由は、「共産と組む立民に入れたくない」という票が流れたと考えるのが自然だろう。