この1年間、自民党は世論を甘く見ていたのではないか
毎日の調査では自民党の支持率は34%で前回調査よりも3ポイント減。ライバルの立憲民主党は13%で、まだ引き離してはいるが、こちらは3ポイントアップしている。他社の調査では自民党支持が伸びているものもあるが、思ったほどでもない。
そもそもこの1年間、自民党は世論を甘く見ていたといえないか。菅氏は、昨年9月に就任以降、衆院選日程を今秋に定めていた。夏に行われる東京五輪・パラリンピックが盛り上がれば政権が浮揚するので、その勢いで国民に信を問えばいいという考えだった。確かに五輪では、日本人選手が躍動し大いに盛り上がったが、菅内閣の人気には全くつながらなかった。
自民党総裁選が岸田、河野、高市、野田氏の4人で争われることになった時、自民党内ではマスコミ報道を自民党一色とすることで党の支持が上がり、その後に衆院選を行えば圧勝できるという青写真があった。コロナ感染者数が減少すれば政権の評価は回復するという読みもあった。
数日前まで意気消沈していた野党勢力が息を吹き返してきた
たしかに自民党総裁選は、テレビを中心に連日過剰なほど取り上げられた。コロナ感染者数は、驚くほどのスピードで減少している。それでも政権浮揚にはつながっていない。五輪、コロナ、総裁選を政治利用しようという意図が国民から見透かされているということだろうか。
岸田内閣の期待外れな発進により、総裁選で河野氏や高市氏らを推していた議員たちからブーイングが起きることも想定される。そうなれば、「ワンチーム」で衆院選に向かおうという岸田氏の思惑は崩れる。
そして数日前まで意気消沈していた野党勢力が息を吹き返してきたことも見逃せない。
立憲民主党の安住淳国対委員長は6日、自民党の森山裕国対委員長に対し、13日に衆院政治倫理審査会を開き甘利氏から聴取するよう要求。さらに衆院が解散される予定の14日に、岸田文雄首相出席の予算委員会も衆参両院で開催するよう求めた。これらの要求が受け入れられる可能性は低いが、岸田政権の支持が高くないと見切った野党が、攻勢を強めていくことになれば、31日に行われる衆院選は盛り上がりを増すことになろう。