「麻生内閣、福田康夫内閣に次いで3番目に低い」
菅内閣の末期には3割ギリギリの支持率にあえいでいたのと比べると、岸田内閣の支持率は、相当回復している。しかし、内閣発足時の数値としては低い。例えば共同通信の調査で比較すると支持率の55.7%は、2001年の小泉純一郎氏以降、10人の首相の中で2番目に低い。最も低かったのは08年に就任した麻生太郎氏の48.6%である。
麻生氏は1年後の衆院選で大敗して政権から転落した。そう考えると岸田内閣はかなり危険水域からの発進といえるのだ。この傾向は、各社の調査とも似た状況となっており、「小泉氏以降2番目に低い」「麻生内閣、福田康夫内閣に次いで3番目に低い」というデータが並んでいる。
日本人の国民性からして、新しいスタートを切った人には優しく接する傾向がある。「ご祝儀相場」とも言われる。実際、菅氏を含め、歴代多くの首相は就任直後の支持率が最高の支持率となっている。発足時の数値が発射台となり、あとは下がり続けるのを覚悟するしかないのだ。
「中曽根康弘氏、小渕恵三氏も最初は低かった」
4日、報道各社の数字が永田町を駆けめぐると自民党サイドから「期待していたよりは低いな」「これぐらいのスタートがちょうどいい。中曽根康弘氏、小渕恵三氏も最初は低かった」という声が交錯した。確かに中曽根、小渕氏は政権発足後に支持が回復した珍しいケースではあるが、20世紀の宰相の例まで引かなければならないところに、岸田内閣発足時の厳しさがうかがえる。
岸田氏は5日朝、記者団の質問に対し「調査の数字、聞いております。各社によってだいぶ幅があるとも受け止めています。いずれにしろ低い数字も含めてしっかり受け止め、自分自身をしっかり振り返りながらこれから選挙に向けてしっかり取り組んでいきたいと考えております」と語っている。前任の菅義偉氏が、木で鼻をくくったような対応が多かったのと比較すると、誠実に受け止めているとはいえる。
今回の調査では内閣支持率以外にも自民党にとって不安な数字が並ぶ。毎日新聞のデータでは岸田内閣の顔ぶれに「期待が持てる」はわずか21%。「期待が持てない」は51%だった。「政治とカネ」の説明責任が問われる甘利明氏の党幹事長就任を「評価しない」が54%と5割を超えたのはある程度想定されたが、内閣全体の顔ぶれにダメ出しをされたのはショックだろう。