米メジャーリーグ・エンジェルスの大谷翔平選手は、今シーズン40本塁打(8月24日現在)を記録し、打者として両リーグトップにある。一方、投手としては8勝にとどまっている。元メジャーリーガーで野球解説者の五十嵐亮太さんは「コントロールさえ良くなれば投手としてもメジャーのトップになれるはずだ」という――。
ブルージェイズ戦で力投するエンゼルス先発の大谷翔平投手=2021年8月12日、アメリカ・アナハイム
写真=時事通信フォト
ブルージェイズ戦で力投するエンゼルス先発の大谷翔平投手=2021年8月12日、アメリカ・アナハイム

メジャーの壁を乗り越えオールスター選出された大谷

大谷選手がピッチャーとバッターの両方でオールスターゲームに選ばれたことは、驚きとともに、同じ日本人としての喜びを感じました。

私がアメリカにいたのはもう10年近く前(2010~12年、ニューヨーク・メッツなどに在籍)です。当時より現在のメジャーリーグのレベルは数段上です。

2010年ごろ、ストレートの平均球速は91マイル(約146キロ)を少し上回る程度だったのが、2020年は93マイル(約150キロ)を超えているんです。

そもそも日米の野球には大きな違いがあります。移動1つ取っても、西海岸から東海岸へは飛行機で5時間かかり、その上に3時間の時差があるわけです。

技術的なところでいえば、日本で首位打者を3回獲得した青木宣親選手(現・ヤクルト)がメジャーから帰って来て「向こう(メジャー)の感じで打っていたら、ちょっとタイミングが合わない。日本には日本に合った打ち方がある」と言っていたように、タイミングの取り方にしても、その違いにどう対応するかという問題があります。

大谷選手はメジャーに行ってから、打つ時に足を上げずに軽くステップをする感じに変化し結果をだしていきました。その適応能力の高さも彼のすごさの1つになると思います。