打者としての大谷の魅力

バッターとしての大谷選手の最大の魅力は、打球を遠くに飛ばすということです。

エンゼル・スタジアム
写真=iStock.com/USA-TARO
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その理由は、去年と比べても体がさらに大きくなっていることでしょう。

私は福岡ソフトバンクホークスの投手として、北海道日本ハムファイターズ時代の大谷選手と何度か対戦していますが、細身だった当時と印象はずいぶん変わりました。

野球界には今でもウエートトレーニングに対して否定的な人もいる中で、彼は体を強くする、大きくするという選択をしたのだと思います。

それは昨年のケガの影響もあったでしょうし、日本よりも長いシーズンでメジャーの選手を相手に1年間戦っていく上で、どういう身体づくりをしたらいいかというところを熟考した結果だと思います。

もともと反対方向にもホームランが打てるバッターですが、今年はこの弾道の低さでスタンドに入っちゃうんだとか、こんなに飛ぶんだと思うような打球が多くなりました。比較的、苦手にしていた内角球をホームランにしてしまうようになったことも含め、ビルドアップによってスイングスピードがさらに上がったことが関係していると思います。

ほぼ真ん中の球でも抑えられる

今の大谷選手を見ているとピッチャーとバッター、どちらを気持ち良さそうにやっているかというと、バッターのほうが楽しそうに映ります。ですが、私はもともと、大谷選手はピッチャーのほうがいいと思っていました。自分がピッチャーだったという事もあるとは思います。

ピッチャーとしてのすごさは、変化球の変化量の多さもありますが、やはり平均93.3マイル(約150キロ)の球の速さや強さです。

他のピッチャーであれば、内外角のボールの出し入れであったり、内角の厳しいところを攻めて外角を広く見せるといった配球をしないと抑えられない。

それが大谷選手の場合は、追い込んだ時にはスプリットやスライダーといったボールになる変化球を振らせようという意図は見えますが、それ以外はほぼ真ん中近辺の球で抑えてしまっているわけです。