「息が苦しい」と言う代わりに「酸素飽和度が98から92へ落ちた」と言え

パルスオキシメーターを入手したら、まずは平常時に測定して、ベースラインの酸素飽和度を把握することが大切である。女性の場合、マニキュアのある指では正確な数値が出ないので、足指など何も塗っていない部分で測定しよう。指先が冷たい場合も脈が拾いにくいので、暖房やお湯などで指を温めた上で測定すると出やすい。

また、近年、女性に流行しているジェルネイルは専門店でないと除去できないため、スムーズに自宅での酸素飽和度の測定が困難になる。患者数が過去最大を更新するようなコロナ流行期にはお勧めできない。どうしてもしたいなら、2021年夏は「手指のみジェルネイルだが、足指はジェルネイルなし、あるいは落としやすい通常マニュキュア(足指で測定)」にすることを強くお勧めする。

マニュキュアをした指にパルスオキシメーターを装着しても正確な数値の測定ができない
写真=iStock.com/Yuliia Kutsaieva
※写真はイメージです

何らかの体調の変化を感じた場合、微熱であっても酸素飽和度をマメに測定し、「90%未満」あるいは「ベースラインよりも5%以上低下」がみられる場合には、「かかりつけ医師」「発熱外来」「保健所」などに電話して「受診すべき病院」や「入院が相当ではないか」などの指示を仰ぎたい。単に「息が苦しい」と訴えるよりも、「普段の酸素飽和度は98以上なのに、今朝から92~3」という数値化された情報は、医療機関における判断の助けになるだろう。

こうした数値の推移を記録しておけば、当初の扱いが「入院不要なコロナ軽症」だった人が、「入院可能な中等症」へ格上げされる可能性もあるかもしれない。

もっとも、入院治療といっても医療ドラマのように「ホテルのような部屋でイケメン医師やかわいいナースが献身的に治療」を期待してはいけない。「医師の回診は1日数分間、看護師は基本モニター越しの会話、配膳される病院食はビミョー」おまけに「4人部屋で、遅いwi-fi、消灯21時」というのが平均的なコロナ中等症病床の現状である。

酸素飽和度が95%以上あり、タブレットで動画を見たりSNS発信できるレベルの元気があるならば、「保健所に登録した上で自宅療法」というのも悪いアイデアではない。実際、酸素飽和度が正常範囲なのに強く入院希望するので無理やり病床を確保したら、「個室じゃない」「wi-fiない」「隣の患者のイビキがイヤ」のような理由で帰宅するコロナ患者も少なくない。これはこれで問題だ。