政府は8月2日、コロナに感染し中等症と診断されても、症状が軽い人や重症化リスクの少ない人は自宅療養とするという方針を決めた(5日に「中等症も原則入院対象」と軌道修正)。麻酔科医の筒井冨美氏は、「軽症でも中等症でも在宅療養者は、容体の急変で命を落とすことがないよう、重症化の目安となる血液中の酸素飽和度を測定できるパルスオキシメーターを準備すべき」という――。
政府に見捨てられた? 入院できぬコロナ自宅療養者が用意すべきモノ
8月2日、政府は新型コロナウイルスの感染拡大が続く地域において、中等症患者であっても「症状が軽い」あるいは「重症化リスクの少ない」患者に関しては、「自宅療養」とする方針を出した。
この政府の新方針に対し、医療機関からは「(これまで通りに入院していれば)早期に治療できていたものが、対応が遅れて重症化し、かえって重症病床がより逼迫する恐れがある」といった懸念が噴出している。
与党や野党からも撤回要求が出たが、菅義偉首相は突っぱねようとしている。
※編集部註:8月5日、田村憲久厚生労働相は、「中等症の中で、比較的、重症化リスクの低い人は自宅で対応いただく」としたものの、「中等症は原則入院」「肺炎の所見があり、息苦しい人は入院するのが当たり前だ」と述べた。中等症で入院できなくなるとの懸念や批判を受け、軌道修正した形。
7月下旬の東京五輪の開会式以降、全国的にコロナ感染者が急増している。東京だけで感染者数が1日4000人以上の日もあり、1万人超も現実味を帯びてきた。
リスクが高まる中、もし、自分がコロナに感染して発症したらどうすればいいのか。入院もさせてくれないし、ホテルなどの施設にも入れてくれない。医師からは、ただ、自宅で療養してください、と冷たく言われたら……。こんなに心細いことはないだろう。
多くの人の脳裏をよぎるのは、今春、大阪で感染者が急増した際、入院を拒否され自宅で半ば放置されたような状態の患者が続出したことだ。自宅で容体が急変して亡くなった人も少なくない。
それと同じことが感染者の多い東京を含む首都圏中心に起こる可能性がある。一人ひとりにできることは感染防止対策を念入りにすることしかないが、感染力の強いデルタ株が拡大する中、いつ当事者になってもおかしくない。