「これ以上の病床数確保はムリ」現場の悲鳴
新型コロナウイルス(以下コロナ)の感染拡大を受けて、コロナ患者用の入院病床数が不足している。高齢者のワクチン接種を終えた2021年夏の第5波は、20~50代の現役世代の入院が急増しているのが特徴である。
8月23日、小池百合子都知事と田村憲久厚労相は合同で、都内の医療機関に対し「コロナ患者を最大限受け入れること」「正当な理由なく応じない場合は病院名を公表する」と要請した。
国はこれまでもコロナ受け入れ病院に対して「一床あたり450万~1500万円」の補助金を出して病床確保に努めてきたが、マンパワーが不足していた。なかでも「夜勤可能な看護師」が非常に不足している。
「看護師本人が夜勤に耐えられるレベルの健康状態で、家庭内に子供・糖尿病・喘息などの健康弱者がいない」さらに「人工呼吸器も扱える」「感染症に詳しい」レベルとなると病院同士で奪い合いの状態である。「コロナ病床、夜勤アリ、月200万円」の看護師求人広告も出現し、「これ以上の病床数確保はムリ」という現場の悲鳴も大きい。
医師たちに囁かれる「偽装中症病床」
一方、こうしたコロナの猛威と闘う医療現場が多いなか、一部にはそれとは真逆の不届きな病院もある。実は、最近になって、医師たちの間でささやかれるのが、「偽装中症病床」の存在だ。
病院は「コロナ病床」としての補助金をもらいつつ、「PCR検査は陽性だが深刻な呼吸不全はない軽症者」を意図的に入院させておくのだ。そうすれば手もかからない。救急隊には「満床」と報告しておけば、それ以上追及されることはない。
入院する患者としても恩恵を享受できる。「ベッドでゴロゴロしながら1日中ネット動画鑑賞、入院費タダで食事も確保、傷病手当金や保険金は丸儲け」のような状態となり、病院/患者とも「win-win」となる。そして、そのしわ寄せが、入院できない中重症患者(や納税者)に来ているのが現状とも言える。