一生独身でも食っていけるリケジョ、ワープアになるリケジョ
そろそろ入試のシーズン、具体的な出願校を決める時期である。
近年、賢い理系女子高生の中には医師を目指す者も増えているが、国公立大も私立大も医学部合格は至難の業。偏差値は高騰し、「リケジョなら誰でも挑戦すべき」とは言えないが、医学部でなくても、リケジョは文系女子に比べ、十分に食べていける。
経済協力開発機構(OECD)が各国の大学生の中に占める女性の割合を調査したところ(2021年9月公表)、日本は「自然科学・数学・統計学」分野で27%、「工学・製造・建築」で16%と、いずれも最下位と報道されている。国内における理工系の女子学生の少なさは長年の課題で、OECDは「男女で著しい差が生じている。女性に理工系分野に進む夢を与える必要がある」と指摘している。
日本女性の平均寿命は約90歳であり、70代まで働く女性も珍しくなくなりつつある。本稿は、卒業直後の新卒就職のみならず、出産後のキャリア維持や生涯賃金の観点から、偏差値50前後の平均的リケジョの進路について学部別に解説してみたい
【医学部以外の医療系】
▼歯学部
しばしば「歯科医院はコンビニより多い」「案外、歯科医はワーキングプア率が高い」といった話を見聞きするが、医療の現場で長年働く筆者が思うに、手先の器用な女性にはお勧めである。マジメで出席率も高い女子歯科大生は概して歯科医師国家試験の合格率も高く、最少年限で歯科医師になりやすいことが知られている。
20代はしっかり働いて経験を積めば、出産後のパートタイム勤務や、将来の自宅開業も可能だろう。病院勤務でも、当直や夜間呼出がまれなので医師よりも家庭との両立が比較的容易だ。また、内科医のように将来的にITや遠隔診療に仕事を奪われるリスクも少ないと予想される。
▼薬学部
化学が好きなリケジョはお勧めである。理工学部化学科などは、卒業後の新卒就職率は高いものの、子育て期間中に、例えば地方工場勤務や海外プラント出張などの「大企業総合職」的な働き方を継続できるか疑問である。
近年の理工系では修士課程進学が標準化しつつあるので、同じ6年ならば資格を取得できる薬学部のほうが人生の選択肢が増えるのではないか。「卒業直後は大手製薬会社勤務でバリバリ働き、出産後は自宅近くの薬局勤務」といったキャリアチェンジも柔軟にできるからである。2020年のコロナ禍で「オンライン服薬指導」が解禁されたので、今後は在宅勤務が広がる可能性もある。
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