子供の学力を伸ばすには、どうすればいいのか。学習塾を経営する坪田信貴さんは「子供が大きくなるにつれて、親は共感よりダメ出しが多くなる。『勉強しなさい』と一方的に声をかけるのではなく、子供の言い分に耳を傾けてほしい」という――。
※本稿は、坪田信貴『「人に迷惑をかけるな」と言ってはいけない』(SB新書)の一部を再編集したものです。
課題を知らないまま「頑張れ」と言うのは逆効果
「勉強しなさい」は、具体的に何をしたらいいかわかっていない人の言葉です。
よくわからないけれど「とりあえず頑張れ」と言っているだけ。「人生、頑張れ」と言っているようなもので、何を頑張ったらいいのかはよくわかりません。
たとえば子育ての奮闘中に、単身赴任の夫が帰ってきて、奥さんが子育ての苦労を話したとします。そのとき、夫がいかにも何もわかってなさそうなのに「とりあえず子育て頑張れ」と言ってきたら「なんだこいつ」と思いませんか?
課題は何か、どういう方向に頑張ったらいいのかといったことを把握していないばかりか、知ろうともしない人にざっくり「頑張れ」と言われても、「うるさいな」と思いますよね。それと同じです。課題を知らないまま「頑張れ」と言うのは逆効果なのです。
勉強で苦手な分野があって、もうちょっと頑張りたいというとき、大切なのは本当の課題を見つけることです。
僕の塾に来る方の中で多いのは、「数学が苦手です」と言っているようなケースです。親御さんも「この子は本当に数学が苦手なんです。だからなんとかしたいと思って……」とおっしゃいます。
そこで、どのくらい苦手で、どこまで戻ってやる必要があるのか調べるために学力テストのようなものをやります。すると、9割の人は「数学が苦手なのではなく、計算が苦手」ということがわかるのです。