「ウイルスに感染しないこと」が生きる目的になっていないか
日本のメディアや専門家たちは最近、海外のコロナ対策事例としてワクチン接種の進んだイスラエルとイギリスをやたらと称えるようになった。
「日常を取り戻しています!」「繁華街や公園はとてもにぎやかです!」などと報じ、マスクを外している人々の様子を映し出す。そして、お決まりのように「日本は残念ながらワクチン接種が遅れているので、こうした光景が見られるのはまだ先になりそうです」「マスクをつける、3密を避ける、消毒を欠かさないといった感染症対策を徹底し、これからも自粛を続けましょう」と畳み込む。さらに専門家は、こうした話題の後に「ワクチン接種が進んでも、引き続きマスクは必要」などと、どこまでも感染症対策を徹底することが大事だと説く。
もはや、ウイルスに感染しないことが人生の目的のようになっているのが、このバカ国家・日本の実情なのだ。「専門家様のありがたい金言」という体裁でまき散らされる煽動により、国民は権威を疑うことを知らぬ羊の群れのような状況になっている。
だが、冷静に数字を見てほしい。今年6月15日の陽性者数は、日本が936人でイギリスは7673人だ。総人口は日本がおよそ1億2600万人で、イギリスはおよそ6700万人。つまり、ワクチン接種が進んだイギリスであっても、人口比で見れば日本の約15倍も陽性者が発生しているのだ(ただし、死者はここしばらく1日約20人で推移)。その後、イギリスは6月21日で解除される予定だったロックダウンの4週間延長を決めたが、5月末の段階で日本のメディアがイギリスを礼賛したのは事実である。
専門家には社会全体を考える頭がない
また、アメリカに目を向けると、もっとも厳格なコロナ対応をおこなっていた州のひとつであるカリフォルニア州が、6月15日をもって制限を解除。ワクチン接種が完了した人であれば屋外でのマスク着用が原則不要となり、MLB・エンゼルスの試合では3万人超の観客がノーマスクで観戦している。
結局、コロナ禍は国民が「もう終わり!」というマインドになれば、アメリカのように収束させることができる性質のものなのだ。しかし日本では、今年1月に発出された2回目の緊急事態宣言が3月21日に解除されたと思ったら、4月25日に3回目の緊急事態宣言が発出され、延長を重ねて6月20日まで継続されたあげく、引き続き「まん延防止等重点措置」が適用されることになった。一体、どれだけビビれば気が済むのか。
こうなってしまうのは、専門家連中が常に「最悪の事態を想定」などと言いながら、国民を煽り続けているからである。そりゃあ専門家からすれば、感染拡大防止こそが最大の重要事項なのだろう。だが、彼らには社会全体のことを考える頭がない。だからこそ彼らは「感染症対策においてヤバいこと」だけにフォーカスした発言を重ねてきたのだ。あくまでも「感染しないことが人間にとって何よりも大切なこと。そのためにはどんな犠牲を払っても構わない」という前提に立っているのである。
これまで専門家たちが悪者として挙げてきたのは「人流」「酒」「3密」「気の緩み」「会食」「大規模イベント」「会話」「外出」「旅行」など、いずれも人間の生活において重要な営みばかりだ。にもかかわらず、とにかく「感染拡大防止」を最重要事項に据えたため、これらは「取るに足らないもの」「不要不急」扱いされてしまった。そして、さらなる恐怖を煽るために使われたのが「エアロゾル感染」「目からもうつる」「後遺症」「感染力の強いイギリス株」「イギリス株とインド株のハイブリッド型のベトナム株」といった期待の新人たちである。