テレビに出る専門家は「目立ちたがり、出たがり」でしかない

そこまで大きな権限、そして影響力を握ってしまった「専門家」とは、果たしてどのような存在なのだろうか。シンプルに表すなら「目立ちたがり屋」である。

メディアでよく見かける専門家の顔を思い出してみてほしい。だいたい同じような面々が各局をハシゴするようにして多数の番組に登場していることに気づくだろう。要するに「おなじみの顔ぶれ」だらけなのだ。

なぜ、このような状況になるのか。妙な言い方になるが「メディアに出たい人がメディアに出まくるから」に他ならない。メディアの側からすれば、出演依頼をしたら文句も言わずホイホイと出てくれる専門家は、非常に重宝する存在だ。とくにテレビの制作現場は、いつも切羽詰まっている。ギリギリで企画が決まり、放送までほとんど時間がないなかで映像を編集したり、コメンテーターを引っ張ってきたりしなければならない。

制作に携わるスタッフたちの会話は、まぁ、こんな調子である。

【スタッフA】うわ~、やっと特集のテーマが決まったよ。ぜんぜん時間ないけど、専門家は誰にしようか?

【スタッフB】今回も山田先生でいいんじゃね? あの人、テレビ出演以外の仕事、ほとんどないみたいだし。「明日の朝なんですけど」「今日の夜、大丈夫でしょうか?」なんて尋ねても、断られたことないよ。他の番組とかぶってなければ、まず間違いなく出てくれる。たぶん、ウチの別の時間帯の番組にも出るだろうから、移動もラクだろうしさ。

【スタッフA】そうだね。しかも、ちゃんと空気を読んで番組の方向性に合ったコメントしてくれるし。じゃあ、これから山田先生に電話してみるわ。

テレビ出演はおいしいバイト

かくして、山田先生(仮名)はできるだけ効率よく制作を進めたいメディア側から「使い勝手のいい人」と認識されるようになり、番組出演を重ねることになる。これが「同じ専門家ばかり、やたらとテレビで見かける」という現象の裏事情である。

つまり、テレビによく出ている専門家は「本当に知見のある人」とは一概に言えず、むしろ「時間に融通が利き、しかも出たがり」「条件面で面倒なことを言わず、メディアにとって都合のよい立ち回りをしてくれる人」という理由でアサインされているケースがままあるのだ。

さらに付け加えるなら「お小遣い稼ぎが好きな人」というケースもあるだろう。民放の情報番組に2時間出続けると、一般的に「文化人枠」の出演者には1回あたり4万円~10万円のギャラが支払われる。番組内の1コーナーの出演であれば2万円~5万円で、3万円が最多価格帯だろうか。テレビ出演は、実においしいバイトなのである。1日で3番組のコーナー出演をハシゴすれば、9万円を手にすることになる。これを1カ月続ければ270万円の稼ぎだ。本業以外の臨時収入としては、なかなか魅力的な額である。