高額の税金、保育料を払った揚げ句、無い無い尽くし

つまり高所得世帯は、税金も保育園料も高い金額を払った揚げ句、児童手当ナシ、高校無償化ナシ、奨学金ナシ、障害児支援も負担増なのです。

ダブルパンチ、トリプルパンチどころではなく、クアドラプルパンチ、クインティプルパンチなわけで、いったいどれだけ罰ゲームが続くのか……といった感じです。

もちろん、子育て環境や諸制度は、筆者の親世代の頃とは見違えるほど改善されているとはいえ、この時代においても冒頭の法案が賛成多数で可決するとは、この国の政治家の状況認識能力は大丈夫か、というのが正直な感想です。

ハンガリーのすごい子育て支援

そこでイヤミとして、少子化対策で成果を上げているハンガリーの事例を紹介したいと思います。

子が4人で定年まで所得税ゼロ

4人目の子を産んだ女性は定年まで所得税がかかりません。おそらく「あなたは国にしっかり貢献してくれたので所得税は免除します」というわけなのでしょう。

有給育児休暇

育児休暇は日本では原則、子が1歳になるまですが、ハンガリーは3歳になるまで認められます。その間の育児休業手当は子が生まれる前の給与総額の7割です。

さらに3人以上の子を持つ母親は、最年少の子が8歳に達するまで子育て支援手当が支給されます。大卒以上の女性が出産した場合は、2年間の保育料が給付されます。これなら子育てに関わる経済的な不安は払拭できるでしょう。

結婚奨励金

新婚カップルはどちらか一方が初婚であることを条件に、結婚後2年間、毎月15ユーロ(約2000円)の税額控除を受けられます。さらに妊娠すると、妊娠91日目から給付金が出ます。結婚すれば子を持つ家庭が多いので、まずは結婚を促そうということなのでしょう。

無利子ローン

妻が18歳から40歳までの夫婦は3万ユーロ(約400万円)の無利子ローンを受けられます。

ただし、最初の5年間に1人の子が生まれた場合、無利子のまま返済が3年間猶予されます。2人目の子が生まれると、さらに3年間返済が猶予され、かつ元本の3割が返済不要になります。3人目の子が生まれれば、残りの借金が全額返済不要となります。

マイホーム補助金

3人以上の子がいる家庭が新築の不動産を購入する場合、3万ユーロ(約400万円)が現金支給され、さらに4万5000ユーロ(約600万円)分の住宅ローンの金利が補助されます。中古物件を買う場合は、子4人以上なら最大で7500ユーロ(約100万円)が補助されます。さらに住宅ローンの減額制度もあり、子が3人以上の家庭は1万2000ユーロ(約160万円)が減額されます。

新車購入補助金

3人以上の子がいる家庭が7人乗り以上の新車を購入すると、7500ユーロ(約100万円)の補助金がもらえます。マイホーム補助金も新車購入補助金も、内需拡大にも一役買います。

学費ローン返済減免

学費ローンを借りていた女性が妊娠した場合、妊娠3カ月目から3年間、返済を停止できます(第2子を妊娠した場合も同様)。

第2子を出産後は学費ローン残額の5割が免除され、第3子出産後は残額全額が免除されます。これは高学歴女性の補助を手厚くし、安心して進学できるようにという意味もあるのでしょう。

体外受精無料化

第1子に対して5回まで、第2子以降は4回までの体外受精費用が全額補助され、関連する医薬品も100%保険適用されます。つまり体外受精はほぼ健康保険内で賄えます。

また、国営の不妊治療専門機関が全国に設置されています。