成功する人ほどあきらめが早い。不動産コンサルタントの午堂登紀雄さんはそう指摘します。「彼らはコロナ禍の初期に閉店や撤退を決意し、最近は新店オープンや新事業の報告が多くなっています」。なぜ成功者たちは、さっさとあきらめてしまえるのでしょうか――。
今年に入って、攻めの投稿が増えた富裕層たち
私は多くの起業家や経営者、富裕層とSNSでつながっているのですが、このコロナ禍で気付いたことがあります。
それは、コロナの影響を直撃した人の多くは、「あきらめが速い」「変わり身が速い」という点です。
2020年の早いタイミングで、「閉店します」「撤退します」「損切りします」という投稿が相次いだと思ったら、昨今は「新店オープンしました」「通販事業を始めました」「いまこれに投資しています」と攻める投稿が増えているからです。
なぜいち早くあきらめられるのか
たとえばある飲食店経営者は、都心の家賃が高額な大箱の店舗を閉じ、住宅街にある既存店を改装するなど選択と集中に舵を切りました。
借りていたセミナールームを解約し、完全オンラインに切り替えた人もいます。
インバウンド需要に依存していた外貨両替機を売却したり、ゲストハウスをワーケーション施設やコワーキングスペースに改装した人もいます。
富裕層が持っている能力のひとつに、自分が置かれた状況を冷静に把握・認識して、自分がやっていることや向かっている方向が適切でないかもしれないと気がつくこと、そして素早く切り替える力があります。
その中で当然ながら「あきらめる」という判断を迫られることがあるわけですが、ではなぜ彼らは、いち早くあきらめることができるのか、既存の事業に執着せず方向転換できるのか。