防衛省は業務全般で、LINEの利用を停止

政府や自治体の対応は早かった。

3月19日には、個人情報保護委員会と総務省が、LINEに事実関係や個人情報の取り扱いについて報告を要求、金融庁も続いた。「LINE疑惑」は、単なる一民間企業の問題にとどまらないと直感したのだ。

LINEの利用停止や見直しの動きも相次いだ。

総務省は、意見募集など行政サービスの運用を停止。厚生労働省は新型コロナ対策関連施策での利用を見合わせ、自殺相談窓口も他のSNSに切り替えた。国土交通省は採用情報の提供、防衛省は業務全般で、LINEの利用停止に踏み切った。

LINEを利用している1000を超える自治体も、続々と公式アカウントの利用停止や情報発信の見合わせを決定。その数はたちまち200以上の自治体に上り、住民サービスに支障が出かねない事態となった。

中国からのアクセスは従来確認数32回より多い132回

政党では、真っ先に立憲民主党が「国会の機密が漏れかねない」と、国会対策委員会内での利用を禁止。国民民主党も、LINEを使った連絡を停止した。

個人情報保護委員会は3月31日、LINEと親会社のZHDに立ち入り検査に入り、情報管理体制の実体解明に着手した。

そして4月23日、個人情報保護委員会は「中国の業務委託先の監督が不適切だった」としてLINEに行政指導を行ったのである。

次いで総務省も26日、「通信の秘密の保護が十分ではなかった」として行政指導に踏み切った。同時に、中国からのアクセスは従来確認されていた32回よりずっと多い132回に上ることを明らかにした。

さらに、政府は30日、政府機関や自治体がLINEを利用する際のガイドラインを策定、住民の個人情報を含む機密性のある情報を扱うことを原則禁止とした。同時に発表された政府のLINE実態調査によれば、18の政府機関が221業務で利用し、このうち44件(19.9%)が人権問題などに絡む機密情報を扱っていた。また、1788自治体のうち1158自治体(64.8%)が3193業務で利用し、いじめや虐待相談、施設の利用予約など個人情報が含まれる業務は719件(22.5%)に上った。

かくして「LINE疑惑」は、日本を揺るがす大騒動に発展中なのである。