「日の丸プラットフォーム」の前途に暗雲
LINEの利用者情報が中国の委託企業から閲覧できた問題で、総務省は4月26日、「(4月19日にLINEから提出された)報告書に基づく限りにおいては、通信の秘密の侵害又は個人情報の漏えい等があったとは確認できなかった」としながらも、「安全管理措置等や利用者に対する説明に関して一部不十分なところがあったと認められる」として、情報管理が不適切だったことに対してLINEに行政指導を行った。
総務省はさらに、5月31日までに安全管理措置やガバナンスの強化などについて講じた措置の状況報告を求めている。
その直前、4月23日には政府の個人情報保護委員会がLINEは個人情報の管理が不十分だったとして行政指導した旨を発表している。
だが、この程度の処分で本当に安心できるのかと言えば、利用者の不安はとてもぬぐいきれない。
一方、中国の巨大IT企業が大株主になった楽天には、日米両国が情報漏洩への警戒を強めている。
個人情報の「海外流出リスク」は、知らない間に自分のデータが海外からのぞかれる「気持ち悪さ」にとどまらず、国家レベルの情報安全保障に影響が出かねないとの懸念が広がってきた。世界を席巻する巨大IT企業の対抗軸として期待される「日の丸プラットフォーム」の前途には暗雲が漂っている。
「LINEを使うのは止めた」という利用者が続出
「LINEは、個人情報がだだ洩れになりかねないので、もう使うのは止めました。これからは通信会社のショートメール(SMS)でやりとりしましょう」
3月に「LINE疑惑」が発覚して以降、友人や知人からLINEの利用を見合わせる通知が相次いでいる。
自分のさまざまな情報が中国にすでに把握されているのではないか、いまも海外に流出し続けているのではないか……。個人情報の海外流出に漠然とした不安を感じるLINEの利用者がいまも増えつづけている。
利用者が感じる気持ち悪さを突き詰めると、一大プラットフォームにもかかわらず個人情報の管理が甘い「情報漏洩リスク」と、厳しい情報統制を敷く中国当局に個人情報が流れかねない「中国リスク」が二重写しになる。