大企業向きの人、ベンチャー向きの人
人によって、大企業でシナジーを発揮しやすい人とベンチャーでシナジーを発揮しやすい人とがいます。
決められた役割の中できっちりと仕事をするのが好きな人は、大企業向きと言えるでしょう。これに対して、役割を超えたところで新しい仕事にチャレンジしていたい人はベンチャー向きです。
後者のタイプの人が大企業に行くと、窮屈さを感じるのではないかと思います。というのも、大企業で役割を超えた動きをすると「他の人の仕事を奪っている」と認識され、意外と評価されないことが多いのです。
ベンチャー企業では、社内でポジションの流動性が高いため、人が不足しているポジションと現在のポジションを兼務する機会も多々あります。兼務しているうちに、新しいポジションが本業になることも珍しくありません。また、自分自身でポジションを作り出すチャンスもあります。
実際に私の周りでも、ベンチャー企業の人は、仕事の内容が大きく変わったり、社内で新たなポジションを経験したりしてから他業界に転職したりするケースが目立ちます。業界やポジションを変えたいと考えている人には有利な環境であり、大企業にはない利点の一つです。
「失敗経験」を評価する企業も少しずつ出てきた
ちなみに、アメリカなどではスタートアップを経験して失敗したことがある人は、求人市場で高く評価されています。事業を起こす経験がリスペクトされるという文化的な土壌もありますが、「失敗経験」が貴重なタグとして認知されているのです。
そもそも新規事業の9割以上は失敗します。つまり、失敗して当たり前です。そして、一度強烈に失敗した経験がある人が、同じ局面で失敗するリスクは非常に小さくなります。「なぜ過去に自分が失敗したのか、次にどうやれば成功できるか」を理路整然と語れる人は、会社に価値をもたらす可能性が高いのです。
日本では、まだまだ失敗を許容する文化が浸透していないのですが、ベンチャー企業などを中心に失敗経験を評価する動きが少しずつ出てきているのも事実です。起業経験者はベンチャーを目指すのも一つの方法でしょう。