※本稿は、村上臣『転職2.0 日本人のキャリアの新・ルール』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。
自分の市場価値を判断できる「スカウトメール」
納得のいく転職を実現し、我慢しない働き方を手に入れるには、まず自分の市場価値を正しく把握する必要があります。
そもそも求人マーケットは需要と供給の関係によって成立しています。
例えば、スカウト型の求人サイトに登録したり、転職サイトのスカウト機能を活用したりすれば、エージェントや採用企業からスカウトメールを受け取ることができます。
スカウトメールは自動送信されるものもあれば、転職サイトの担当者が直接送ってくるもの、さらには企業の採用担当者から送られてくるものもあります。形式によって内定率は異なりますが、いずれにしても自分の市場価値を判断するおおよそのバロメーターとなります。
スカウトの反応があまりに乏しい場合は、現業のポジションは求人マーケットの中であまり需要がないことがわかります。
大切なのは、市場という場を通じて、自分がどう見えるのかをチェックすることです。
方法としては、転職サイトに登録する以外にも、転職エージェントの担当者やキャリアコンサルタントに実際に会ってみるのもよいでしょう。
「職務経歴書の更新」が年度末の恒例行事
実際に求人マーケットに自分の身を置いてみることで、市場の肌感がわかってきます。
私自身、20代の頃から自分の市場価値については強く意識していたこともあり、毎年の振り返りとして職務経歴書を更新する作業を行っていました。言ってみれば年度末の恒例行事のようなものです。
最新の職務経歴書を作っていれば、自分の市場価値に自覚的になるだけでなく、現実に転職の話がきたときに、すぐに応じられるという実利的なメリットもあります。
私の場合、常に転職したいと考えながら仕事をしていたわけではありませんが、「面白そうな話があれば、一度話を聞いてみたい」「もっと自分を活かせる職場があるのなら、転職もやぶさかではない」というスタンスで働き続けてきました。その中で、現実的に転職をする決断が何度か訪れたというわけです。
特に外資系企業で働く人は2~4年で次のステップを模索するケースが多いため、自分の市場価値や求人市場の動向に敏感です。常にアンテナを張って、次なる転職に備えているのです。
一方、私から見て、日本の会社で働く人には、継続的に自分の市場価値を確かめる機会が少ないようです。転職を真剣に考えてから慌てて行動に移すので、需要とズレたアピールをしてしまうリスクがあるのです。