自分の“タグ”が分かれば、強みも見つかる
市場で通用する強みや適性を見つけることは、自分の“タグ”を明らかにすることに通じます。
「タグ(tag)」とは、「荷札」「付箋」といった意味の単語であり、ウェブの世界では情報を分類するための単語や短いフレーズなどを指します。読者の皆さんも「インスタグラムの投稿にタグ(ハッシュタグ)をつける」といった文脈で日常的に使っている言葉だと思います。
キャリアの文脈では、個人を想起させるためのフックとなるキーワードのようなものです。あなたのこれまでの経歴を考えていただき、たとえばポジションでいえば「法人営業」、業界で言えば「自動車業界」、経験で言えば「(顧客が)中小企業相手」、能力でいえば「コミュニケーション能力」、「誠実性」など、これらはすべてタグになります。
私の場合、もともと在籍していたヤフーからリンクトインに移籍する際の転職活動の中で、企業戦略やM&Aに携わっていた経験がユニークで希少なタグとなる事実に気づきました。これは思わぬ収穫でした。
エグゼクティブサーチ(ヘッドハンティング)のコンサルタントから「エンジニアのバックグラウンドを持っていて、企業買収の経験があり、経営クラスのポジションにいる人は引きがある」と言われたのが特に印象に残っています。
外資系のファンドが日本企業の変革に取り組むとき、こういったポジションで仕事ができる人は希少性があり、重宝されるというのです。
自分では気づかないタグが市場で評価されることがある。それを改めて実感しました。
自分の強みは、案外、周りの人から見いだされることが多いのかもしれません。
「ヤフー」→「マネーフォワード」に転職した元部下の話
私の身近では、ヤフー時代の元部下で、マネーフォワードに転職した人がいます。私の紹介がきっかけで転職したのです。
ちょうどマネーフォワードから「新しく研究所を作りたい。エッジの効いたテクノロジーに強くて、研究所を立ち上げるのにふさわしい人がいないか」という話を聞き、瞬間的に思いついたのがその人の名前でした。
その人はヤフージャパン研究所の立ち上げにも関わっており、長らく私と一緒に他企業との事業提携に関わっていた経験があります。そこで彼の強みが機能するのではないかと考え、紹介したわけです。
もともとその人は転職自体には興味がなかったようなのですが、実際に話を聞くと心引かれるものがあったようで、結局そのまま転職することになりました。