韓国に不当廉売関税を課すことを決定
3月11日、財務省は経済産業省との合同調査に基づき、韓国産の炭酸カリウムに対して暫定的な不当廉売関税(アンチ・ダンピング関税とも呼ばれる)を課すことが適当と結論を出した。
韓国企業が、価格を下げて炭酸カリウムをわが国に輸出した背景には、韓国企業の生き残りをかけた低価格攻勢がある。韓国企業は国内販売だけでは経営が厳しくなるとみられ、低価格での輸出をより重視する傾向がみられる。そうした傾向は今後も続くとみられ、国内外で韓国企業が不当廉売を行っていると判定されるケースは増加する可能性がある。
今回、問題になった炭酸カリウム以外にも、わが国と韓国の間には通商面でいくつかの問題がある。そうした問題の解決に向けてわが国政府は、主張を国際社会に向かってわが国の主張を発信することが必要だ。それによって、一つでも多くの国から支持を得ることに努めるべきだ。わが国の国際的発言力を高めるため、新型コロナウイルスワクチンの供給を目指す国際的な枠組みや、新興国へのインフラ開発支援などに積極的に関与するスタンスを示していけばよい。
「正常価格より安い」日本の業界団体が反発
世界貿易機関(WTO)の定義を参照すると、ダンピングとは、正常価格(国内向けの販売価格)を大きく下回る価額で産品が輸出されることをいう。その結果として、自国の企業(産業)が損害を受けると判断される場合、輸入国はダンピングを防止したり、その効果を相殺したりするために関税(不当廉売関税)をかけることができる。
それは、WTOルールで各国に認められた権利だ。当然のことながら、不当廉売関税の適用には、慎重かつ客観的な調査と、それに基づいた判断が求められる。
今回の韓国産炭酸カリウムへの不当廉売関税の暫定適用を決めた発端は、2020年4月にさかのぼる。当時、わが国の業界団体である“カリ電解工業会”は、韓国産の炭酸カリウムが正常価格より10~40%低い水準でわが国に輸出された事実があると報告した。また、同工業会は、韓国企業のダンピングによって国内企業がシェア低下や販売価格の引き下げを余儀なくされていると申し出、政府に不当廉売関税の適用を申請した。