つまり、世界全体で最先端の製造技術を自力で生み出す企業の力が求められている。海外からの技術移転などを重視して汎用品の大量生産によって価格競争力を発揮してきた韓国企業は、これまで以上に低価格での輸出を目指し、収益の維持と増加を目指そうとするだろう。

公務員スキャンダルで揺れる文政権

今後の焦点は韓国が、わが国の暫定措置にどう対応するかだ。足許、韓国の文大統領はわが国への批判的な発言を控えている。それよりも、文氏は不動産価格が高騰する中で浮上した住宅不動産公社職員やその親族による不動産投機疑惑への対応に手一杯だ。支持率低下に直面する文氏としては、このタイミングで日韓関係がさらにこじれて国際社会での孤立感が高まり、それを世論に批判される展開は避けなければならない。

ただし、中長期的な展開として、韓国がわが国の対応を不服としてWTOに紛争処理小委員会(パネル)設置を求める可能性はある。また、対抗措置として韓国が対日輸入品に関税を賦課する展開も考えられる。というのも、日韓の通商関係は円滑ではない。文政権は、わが国がフッ化水素、フッ化ポリイミド、レジストの対韓輸出手続きを厳格化したことを批判し、WTOにパネルの設置を求めている。

長めの目線で考えた時、炭酸カリウムや水酸化カリウムの不当廉売などに関するわが国政府の判断を韓国が批判し、WTOに紛争解決を求める展開は排除できない。そうなった場合を想定して、わが国は国際世論との関係を強化しなければならない。

米国ほか、多くの国から支持を得る必要がある

ポイントは、WTOの紛争解決では、主張の科学的な根拠を示すことが、わが国の求める裁定につながるとは限らないことだ。それは韓国がとってきた福島県などの水産物輸入禁止措置を巡って、WTO上級委員会がパネルの判断(韓国の措置は過度に貿易制限的)を覆し、韓国の主張を容認したことから確認できる。その一因として、韓国が周到に国際世論への根回しや説得を行い、主張への賛同を得たことは軽視できない。

現時点で、わが国は国際世論と良好な関係を持っている。日韓の通商問題に関して、米国は基本的にはわが国の主張を支持してきた。わが国政府はその環境を活かして韓国製品への不当廉売関税などに関して、より多くの国からその必要性と正当性への納得を得なければならない。そうした取り組みが、わが国企業の事業運営の強化、さらにはわが国経済の安定に欠かせない。

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