説教に立ったのはアメリカ聖公会の黒人大主教で、公民権運動の指導者マーチン・ルーサー・キングの言葉から始まった。

説教が終わって礼拝堂に流れたのは、アメリカの黒人ソウルシンガー、ベン・E・キングの「スタンド・バイ・ミー」だった。

独特で、多様性のある結婚式を行ったメーガン妃に、メディアや国民はおおむね好意的だったといわれるが、一部には強い反発もあったようである。

サセックス公爵のハリー王子とサセックス公爵夫人のメーガンは、セント・ジョージズ・チャペルで結婚式を挙げた後、行列の途中でアスコット・ランドーの馬車でウィンザー城を出発
写真=iStock.com/AdrianHancu
※写真はイメージです

人目を憚らず夫と手をつなぐ、公務の際にジーンズをはく、車から降りて自分でドアを閉めるなど、「英王室ではマナー違反」だという声もあり、メーガン妃にとっては何かと気苦労の多い生活が始まった。

「離脱したい」女王の返答は厳しいものだった

メーガン妃は結婚する前、ヘンリー王子と2人で「世界を変える」と、周囲に語っていたという。

そのためにはまず、古い因習にがんじがらめになっている王室を変えようと考えたのかもしれないが、そのことにより、彼女は追い詰められていくのである。

結婚後はウィンザー城からほど近い場所に引っ越し、3億円以上かけて改修した。衣装代には年7000万円以上をかけた。出産も皇室が使うセント・メアリー病院ではなく、高額なポートランド病院だった。

さらに、毎年エリザベス女王の家族が集うのがしきたりになっている2019年のクリスマス礼拝に、カナダで休暇を取っていて参列しなかった。

その10日後、エリザベス女王は、「ヘンリーとメーガンは、2020年春以降、殿下、妃殿下の称号を返上して、一切の公務から退け」と、きっぱりといい渡したのである。

公務ができなければ、公的資金も受け取ることができなくなる。

厳しい決断だが、『ヘンリー王子とメーガン妃』の亀甲は、「セレブ気取り、浪費ぶりが目についていたメーガン妃の振る舞いは、エリザベス女王が長年苦心して築き上げたイギリス王室にとって『蟻の一穴』となる可能性は大いにあった。女王は王室の将来を考え、2人を切り離すと決めたのではないだろうか」と推測している。

転機を迎えている2つの“ロイヤルファミリー”

そして、ロイヤルウエディングからわずか1年半後の2020年1月に、2人は「主要な王族の地位から退く」と“王室離脱宣言”したのである。しかもこのことはエリザベス女王やチャールズ皇太子には相談せずに行われたといわれる。

2人はカリフォルニア州サンタバーバラ郡に、16億円といわれる豪邸を購入して暮らしている(ヘンリーは、母親のダイアナ元皇太子妃の遺産がなかったらこうしたことはできなかったと語っている)。