民主党のジョー・バイデン氏がアメリカの第46代大統領に就任した。代々木ゼミナールのカリスマ講師、蔭山克秀先生は「現職のトランプ大統領が破れて、民主党のバイデン候補が勝利したアメリカ大統領選挙は、大方の日本人の予想に反する結果に終った」と語る。意外に感じる日本人も多かったその理由とは。世界のリーダーとして、常にその動向や資質に注目が集まるアメリカ合衆国の大統領について3回に分けてお伝えする――。
2020年11月9日のマンハッタンのタイムズスクエアに映し出されたジョー・バイデン氏
写真=iStock.com/Massimo Giachetti
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大統領選はトランプ氏の独り相撲だった?

まずは、記憶に新しい今回の大統領選、この選挙結果を“予想外”ととらえたのは、まず今回の選挙が「トランプvs.バイデン」ではなく、「トランプvs.反トランプ」の構図になっていたからです。

実際にアメリカから届く声の多くは「トランプが好きか嫌いか」であり、映像にはいつも熱狂的なトランプ支持者やアンチばかりが映し出されていました。対してバイデン候補は存在感が薄く、熱烈な支持者もアンチも見た記憶がありません。失礼ながら、私も「トランプじゃないほう」程度の認識でした。

つまり私たちは「トランプvs.バイデン」ではなく、いつの間にか対立候補のいない「トランプの独り相撲」を見せられているような気分になっていたわけです。

そんな中、行司がいきなり「トランプじゃないほう」に軍配を上げたのだから、そりゃあみんな驚きます。「え、トランプって誰かと戦っていたの?」という驚きです。ということは、どうやら2020年の大統領選は、バイデンが人気者だったというよりも、トランプが独り相撲で勝手に勇み足をしてしまったということなのでしょう。

今回は、アメリカの保守・リベラルとトランプ大統領誕生のお話をさせていただきます。