新型コロナウイルス感染症の影響で、東京2020オリンピック大会は延期となりました。安全な開催に向けて準備がすすめられているようですが、いったいどんな形で実現できるのでしょうか。今でこそ当たり前に男子も女子も参加しているオリンピックですが、かつて女性はオリンピックの参加を禁じられていました。日本人女子が初めて出場したのは9回アムステルダム大会。今回はちょっと経済から離れて、「女性とオリンピック」の歴史を振り返ってみましょう。
私はチャンピオン
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スポーツは男性のもの。女性の入る余地なし

まず男性に限って見れば、スポーツの起源は大変古いです。古代エジプトには、すでに宮廷娯楽としてのレスリングや重量挙げがありましたし、古代ギリシャでは「健全な肉体に健全な精神が宿る」と考えられ、自由市民の教育で知育・徳育に加え「体育」が重視されました。また古代ローマでは軍事訓練という実用性の側面から、スポーツが盛んに行われました。さらに、教育・軍事の必要性から始まったはずのギリシャ・ローマのスポーツは、その後次第に競技場で大会が催される一大イベントとなり、特にギリシャの大会は、最終的には都市国家オリンピアで「守護神ゼウスに捧げる4年に1度のスポーツの祭典」という、古代オリンピックの起源となりました。

その後もヨーロッパでは、中世には騎士道習得の一環としてのスポーツ(乗馬や剣術)が発達し、また近代には農村の貧困層の中で生まれ、都市部で洗練されていったスポーツとしてサッカーやボクシングが誕生し、娯楽的なスポーツとして定着していきます。しかし残念ながら、そこに女性が入り込む余地はありませんでした。